ディレクター
Sumiyo Sumikawa モンテッソーリ国際学園 TEL: 714-444-2733
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第28回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 日本文化教育 ~扉の向こうは日本。アメリカで自分のルーツを学ぶ~

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第1回 : 
モンテッソーリー教育との出会い
第2回 : 
「ダメ」 と言っていることは本当に「ダメ」?「ダメ」と言う前に知っておきたいこと
第3回 : 
家庭でできるモンテッソーリ教育
第4回 : 
教師の心得
第5回 : 
環境
第6回 : 
モンテッソーリと障がい児教育について
第7回 : 
モンテッソーリの日常生活の練習とは?
第8回 : 
モンテッソーリの感覚教育とは?
第9回 : 
モンテッソーリの言語教育とは?
第10回 : 
モンテッソーリの算数教育
第11回 : 
モンテッソーリの文化教育
第12回 : 
モンテッソーリ教師への道
第13回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.1~
第14回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.2~
第15回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.3~
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モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.4~
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モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.5~
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もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スペシャルインタビュー 前編
第19回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スペシャルインタビュー 後編
第20回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 実践研修室レポート
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もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スクールエイジ・プログラムスタート!
第22回 : 
スぺシャルリポート 「スクールエイジ・プログラム 日本語学科・芸術学科」 オープンハウス開催
第23回 : 
モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介
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モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介2
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モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介3
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モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.6~
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もっと知りたい!モンテッソーリ教育 「モンテッソーリ育成教師育成集中トレーニングコース」レポート
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もっと知りたい!モンテッソーリ教育 日本文化教育 ~扉の向こうは日本。アメリカで自分のルーツを学ぶ~

いまなぜモンテッソーリ教育なのか?

モンテッソーリ教育はイタリアのマリア.モンテッソーリがつくった100年以上続いている世界で一番広く取り入れられている幼児教育です。このコラムで皆様の子育てのお役に立てると嬉しいです。

2012年 4月 24日更新

第3回 : 家庭でできるモンテッソーリ教育

私たちは、子ども達に将来自分のことを自分で決断し管理できる人間、すなわち他人に左右されることなく、自分自身で自分の進むべき方向性を決めて、自分の力で人生を切り開いていく大人になってほしいと望みます。 目標や夢を達成するために何をすべきか、そして周りの人たちや自分を取り巻く環境とどのように共存していけばよいのかを子どもに学んでほしいと願います。 子ども達が 「自立」 した人間になり自分の人生を楽しく過ごす。 保護者や教育者にとって、子育てのプロセスはとてもわくわくするもののはずです。

しかし現実は思うようにいかず、子育てや教育に疲れを感じることも少なくありません。 子どもの育つ芽をつまないようにしながら、子どもの内在する最大限の能力を充分に発揮できるように支援するにはどうしたらよいか。 子ども達への注意や叱っている内容が本当に適切であるのか。 子どもを叱った後に自己嫌悪に陥るのはどうしてなのか。 このような悩みを抱えながらの子育てはとてもストレスに感じるかもしれません。 モンテッソーリ教育の知識や実践は、保護者をはじめ教育に携わる方々に対してとても役に立ちます。

子育てを楽しみつつ、子どもを自立した個人に育てるために肝心なことは何でしょうか? それを知るためには子どもという存在を理解する必要があります。 つまり子どもがどのように発達・成長し、自立していくかのプロセスを知ることです。

マリア・モンテッソーリは、子どもたちが 「ひとりでできるように手伝ってください」 という強い 「自立」 の欲求があるということ、そしてどのようにそれが養われるのかを、また大人がその子ども達の 「自立」 の欲求をどのように満たし、子ども達を支援するかをわかりやすく説いてくれています。 子どもにとって一人で出来るようになるということはとても特別なことです。 「一人で出来た」 という達成感を十分に体験した子どもは、自信に満ち溢れ生き生き成長していきます。 それはただ単に、上手にできるようになったということではありません。 モンテッソーリは、「自立」 とは子ども達が生まれながらに持っている成長の課題であり、望んでいることであると言っています。 では自立をしていくためには何が必要でしょうか? その一つとして体の動きのコントロールが必要となってきます。

子どもの敏感期を知る

皆さんは、「敏感期」 という言葉をご存知ですか? モンテッソーリが言う 「敏感期」 を知るか知らないかだけをとっても、子育てが楽しくてたまらないかつまらないかを分けるカギになってきます。 身体の動きのコントロールと、子どもの 「自分でやりたい」 という欲求には相互関係があります。 そしてその欲求が強く現れるのは、子どもが 「運動の敏感期」 にいる幼児期です。 運動の敏感期では、手先の細かい動きから身体全体を使う大きな動きを身につけます。 この時期の子供たちは、周りの人がしている行動をよく観察し、自分が自らの動きをコントロールする主人公になりたがります。(「お母さんの敏感期」 相良敦子著

「身体の動かし方を学んで、自分の思い通りに体を動かしたい!」 これが幼児期の子ども達の欲求なのです。 いつも大人がしていることを同じようにやりたがる子ども達の行動は、「敏感期」 にあり子どもが発達していく上で必要なプロセスなのです。 このことを理解すると、子どもに対してどのように対応すればよいか分かってきます。

もし子ども達がやり方がわからなくて困っているときは、代わりにやってあげるのではなく、やり方のプロセスを見せてあげます。 一連の動きを小さなステップに分け、1つ1つの動きをゆっくり見せてあげるのです。 子ども達はとても真剣に見て学ぶことでしょう。 モンテッソーリ教育の本を読んで、得心したMちゃんのお母さんは、Mちゃんが生まれた時からとても注意深くMちゃんを観察し、家庭でモンテッソーリ教育の実践に取り組んでいました。 3歳になったばかりのMちゃんは、自分でパジャマのボタンをはめたくて仕方がありません。 お母さんが手伝おうと手をだすと、「自分でやる!」 と言い張ります。 お母さんはそのようなMちゃんの自主性を尊重し、手伝わずに見守っていました。 しかしボタンが中々はめられず、くやしくてたまらないMちゃんの目には涙が浮かび始めました。 Mちゃんのお母さんは、Mちゃんの自主性を重んじていましたが、どのように手伝い成功に導いたらよいのか分かりませんでした。 そこでお母さんはモンテッソーリの 「提示」 のことを思い出し、Mちゃんにボタンのはめ方の一連の動作、すなわちボタンの持ち方、穴への通し方、それぞれの指の動き方をゆっくりと見せてあげました。 次にMちゃんがボタンをはめることを試すと、自分ではめることに成功したのです。 Mちゃんは嬉しくて嬉しくてたまりません。 他のボタンも同じような手順で挑戦し、一番上のボタン以外はすべて自分ではめ終えることができました。 その晴れ晴れとした笑顔をみたお母さんは、Mちゃんがまさにモンテッソーリのいう 「運動の敏感期」 にいて、自分自身の力で 「動き」 を獲得する喜びを体験したのだと確信したのです。

Mちゃんのお母さんのように、Mちゃんのやりたいという気持ちを的確に応援できるお母さんは子どもから大きな信頼と尊敬を得るでしょう。 子どもは言葉では表現しませんが 「お母さんは自分のやりたいという欲求を手伝い導いてくれる存在」 ということを充分に理解し感謝します。 言葉で説明をせずに 「動き」 を見せて子どもに提示することが効果的な理由は、子どもは言葉の説明のみでは大人のように詳細を認識することができないからです。 言葉を控え、見せることに徹することがポイントです。 動きを見せながら言葉を同時に添えてもいけません。 子どもは一度に視覚と聴覚を使いながら情報をキャッチすることが困難なのです。 言葉による説明のみ、もしくは動きを見せることのみ、どちらか一方に集中して教えると効果的です。

Mちゃんのお母さんの話ですが、Mちゃんが1歳後半のときからお部屋にMちゃん専用の棚を用意してあげました。 その棚にはMちゃんが興味を持ち、遊ぶものばかりをそろえておきました。 棚の中のおもちゃはきれいに整理整頓されて並んでいます。 この年齢の頃の子どもは秩序を好む 「秩序の敏感期」 にいます。 Mちゃんもすぐにどのおもちゃがどの場所に置かれるのかを覚え、自分でおもちゃを棚に戻すようになりました。 2歳近くになったMちゃんは物がいつもの位置になければいけないというこだわりを持つようになりました。 ある晩おもちゃを床の上に置いたままベッドに入ろうとしたときに 「あ、お片づけ忘れた!」 と言い、おもちゃを棚の上に片付けたそうです。 Mちゃんのお母さんは、おもちゃの片付けについて、手がかからずとても楽だったと話していました。

秩序の敏感期」 にいる幼児期にはしっかり環境をセッティングし、子どもが片付けやすい環境を作ればきちんと片付けるようになります。 大切なことはMちゃんのお母さんのように、おもちゃを整理整頓、片付けやすい環境を作る努力です。 どこに何を片付けたらよいかがはっきりしない環境では、子ども達は片付けようという意欲も意識も湧きません。 片付け方を知らない子ども達は、きっとおもちゃを放置したままにすることでしょう。 それを見たお母さんは、「片付けなさい。 何度言ったらわかるの!」 とすごい剣幕で怒ることもしばしばあるのではないでしょうか。 このブロックは赤い箱で棚の上段へ、お人形は白い箱に、などと子ども達が何をどこへ片付けたらよいかを明確にしておくことが大切です。 おもちゃが多すぎるのもよくありません。 子どもが年齢相応の選択ができる量だけを用意し並べておくこと。 また普段雑多に置かれていて興味を示さない物も秩序立てて棚に並べることにより、興味を持ち関わろうとする意欲を引き出す効果もあります。 子どもにとって興味がないと思うものは棚から取り除き、発達や興味にあったものをお母さんが選択し棚に用意してあげると良いでしょう。 何種類もの区別をしないと入れられないおもちゃや、自分で開けることの出来ない蓋のついた入れ物を使うことは避けましょう。 子どもがわかりやすく見ただけでどこに何を置いたらよいのかわかる環境設定をしてみてください。

子どもは秩序だったことが大好きです。 きれいに整頓された部屋は子どもにとって気持ちがよく好ましいのです。 是非実践されてはいかがでしょうか。

秩序の敏感期では何事にも自分の秩序があり、それが乱されると、とても不快になる時期でもあります。 ある日Mちゃんの家を訪問したお母さんの親戚が何気なく棚をずらし、そこにおいてあったものを退けて違うものを置いていきました。 お昼寝から起きてきたMちゃんはいつになくぐずり、おもちゃを出してきて少し遊んではそれを投げ捨ててしまったりとご機嫌ななめです。 お母さんはそのようなMちゃんの態度を不思議に思っていましたが、モンテッソーリの著書に書かれていた 「秩序の敏感期からおこる不快感」 であることに気付きました。 そこで、すぐにおもちゃをもとの場所に戻し、以前と同じように配置すると、すぐに泣き止みいつもの明るいMちゃんに戻ったのです。 大人にとって些細なことでも、子どもにとってはとても重要なこともあるのだとつくづく感じたそうです。 特に2歳前後はこだわりがあるのですが、その時期の特徴といえるでしょう。 3歳をすぎるとそのこだわりは薄れてきます。 このように秩序の敏感期を知ることによって、子ども達のぐずりの原因をよりよく知ることが出来ます。

敏感期は一生に一度のみ訪れる幼児期の子ども特有なものです。 特別に敏感な感受性を発揮する時期を大人たちが尊重し見守り支援することにより、自立に向けての子ども達の可能性を最大限に引き出すことが出来ます。 この子どもの内側から湧くエネルギーを子ども達の成長の為に正しい方向へ導いてあげることが、私たち大人の重要な役目ではないでしょうか。

2012年 4月 24日更新

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Columnist's Profile

ディレクターSumiyo Sumikawa(モンテッソーリ国際学園)

日本にてモンテッソーリ教師の資格を取得。幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。American Montessori Society (AMS) 認定の幼児及び小学部の資格を取得し、Casa Montessori School にて3-6歳児のクラス担任として7年間勤務。2003年 University of California Los Angeles、で心理学学士号取得。行動療法士として自閉症児の支援をし、その活動の一環として、自閉症やその他の障害をもつ子どもたちにミュージカル“Cats”を指導。障害児とその兄弟姉妹たちで結成した“Miraclecats”のディレクターを務める。2009年College of St. Catherineにて教育学の修士号取得。現在は、コスタメサ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。公益財団日本モンテッソーリ総合研究所研究員。

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