ディレクター
Sumiyo Sumikawa モンテッソーリ国際学園 info@monteintel.org

最新コラム

第43回 : 
「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.4「幼稚園で床掃除?『日常生活の練習』ってなぜ必要なの?」~前編~

バックナンバー

第1回 : 
モンテッソーリー教育との出会い
第2回 : 
「ダメ」 と言っていることは本当に「ダメ」?「ダメ」と言う前に知っておきたいこと
第3回 : 
家庭でできるモンテッソーリ教育
第4回 : 
教師の心得
第5回 : 
環境
第6回 : 
モンテッソーリと障がい児教育について
第7回 : 
モンテッソーリの日常生活の練習とは?
第8回 : 
モンテッソーリの感覚教育とは?
第9回 : 
モンテッソーリの言語教育とは?
第10回 : 
モンテッソーリの算数教育
第11回 : 
モンテッソーリの文化教育
第12回 : 
モンテッソーリ教師への道
第13回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.1~
第14回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.2~
第15回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.3~
第16回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.4~
第17回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.5~
第18回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スペシャルインタビュー 前編
第19回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スペシャルインタビュー 後編
第20回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 実践研修室レポート
第21回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スクールエイジ・プログラムスタート!
第22回 : 
スぺシャルリポート 「スクールエイジ・プログラム 日本語学科・芸術学科」 オープンハウス開催
第23回 : 
モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介
第24回 : 
モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介2
第25回 : 
モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介3
第26回 : 
モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.6~
第27回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 「モンテッソーリ育成教師育成集中トレーニングコース」レポート
第28回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ教育 日本文化教育 ~扉の向こうは日本。アメリカで自分のルーツを学ぶ~
第29回 : 
日英バイリンガルを育てる「イマージョン・プログラム」
第30回 : 
「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.1 「“魔の2歳児”が納得する効果的な叱り方とは?」
第31回 : 
MIA@HOME ~2歳から小3を対象としたオンライン授業開始!~
第32回 : 
祝・開村 ママのためのイベントネットワーク「MIA Village」① “一緒にハッピーなお母さんになりましょう!”
第33回 : 
ママのためのイベントネットワーク「MIA Village」② “ママが輝くプロジェクトが続々スタート!”
第34回 : 
MIA Village対談 オコーマ・素子さん(看護師・助産師・国際認定ラクテーションコンサルタント)
第35回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ国際学園 キンダーガーテン「5~6歳クラス」Q&A
第36回 : 
もっと知りたい!モンテッソーリ国際学園 小学部Q&A
第37回 : 
MIA Village対談:Miwako Cichonさん(ボランティア団体Nova Vita Foundation代表)
第38回 : 
新しい年度を前に ~ダイナミックでクリエイティブな時代を生きる子どもたちによりふさわしいプログラムを~
第39回 : 
しつけで悩んでいる方必読!子どもの自律を促す「ポジティブ・ディシプリン」のススメ
第40回 : 
「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.2「2歳の子どもの大泣きが止まらない!」
第41回 : 
「幼児教育者必読!」 モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.1「子どもが集団で話を聞けるようになるには」
第42回 : 
「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.3「幼稚園児の成長を促す!長い休みのベストな過ごし方は?」
第43回 : 
「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.4「幼稚園で床掃除?『日常生活の練習』ってなぜ必要なの?」~前編~

いまなぜモンテッソーリ教育なのか?

モンテッソーリ教育はイタリアのマリア.モンテッソーリがつくった100年以上続いている世界で一番広く取り入れられている幼児教育です。このコラムで皆様の子育てのお役に立てると嬉しいです。

2019年 3月 8日更新

第29回 : 日英バイリンガルを育てる「イマージョン・プログラム」

「モンテッソーリ国際学園」

モンテッソーリ国際学園では、英語と日本語によるイマージョン・プログラムを行っています。イマージョン・プログラムとは“習得を目的とする言語を使って教科を学んでいく”プログラムですが、同学園では、必ず日本人教師とアメリカ人教師がペアになってクラスの担任を務めています。

子どもたちは「モンテッソーリのお仕事」と呼ばれる2時間のクラスで、5つの分野(日常生活、感覚教育、算数教育、文化教育、言語教育)をベースにした活動の中から、自分の興味のあることを選ぶことができます(モンテッソーリ教育については第7回~11回を参照)。2人の担任は、それぞれ日本語と英語で指導しており、例えば、算数の「数え玉=Counting」という活動では、日本人教師は「箱の中の玉を数えてみようね。一、二、三…」と日本語で、そしてアメリカ人教師は“Let’s count in the box. One, two, three…”といった具合に進め、算数の概念だけでなく、関連する語彙を両言語で、ネイティブスピーカーから学ぶことができます。

モンテッソーリ国際学園クラススケジュール(月~金 9:00am~3:00pm)
○クラス

月組、森組、空組(3~5歳児)、太陽組(5~7歳児)

○スケジュール
時間 内容
9:30am - 11:00am 「モンテッソーリのお仕事」子どもたちが主体的に動き、好きな活動(教科)を選ぶ。
11am - 「サークルタイム(一斉保育)」英語または日本語で行われるクラス
~ 外遊び、ランチなど ~
1:45pm - 2:30pm 「モンテッソーリのお仕事」「絵本読み聞かせ(英語または日本語)」
各クラス教師紹介

現在、モンテッソーリ国際学園には4名の英語のネイティブ・スピーカーが、3~7歳児のクラスを担当しています。

アンジェラ先生 月組(3~5歳児)担任
○モンテッソーリ国際学園のバイリンガル教育について

モンテッソーリ教育は、子どもたちの感性と脳の発達を促す教育法です。一方、バイリンガル教育も、子どもたちの脳の発達に非常に良い影響を与えます。スタンフォード大医の研究で、バイリンガルの子どもたちは、一言語のみを習得しているモノリンガルの子どもたちに比べて、集中力が高く、さまざまな分野で発達が早いという結果が出ています。つまり、バイリンガル教育とモンテッソーリ教育には、子どもたちの脳の発達に非常に有効で、この組み合わせが素晴らしい効果を生んでいます。ほかにはない、唯一無二のイマージョン・プログラムだと思いますね。

○バイリンガル教育における私の哲学

バイリンガル教育において大切なことは、第一言語をしっかり維持すること。モンテッソーリ国際学園では、早期イマージョン・プログラムを行っていますが、お子さんの日本語を維持したいのであれば、自宅ではむしろ日本語を中心にしてください。日本語の基礎をしっかりと築き、同時に文化も伝えていくことが大事です。一つより二つの言語や文化に触れることで、異文化への理解が深くなり、グローバルな視点を養うことができると思いますよ。バイリンガル教師として働くのはこの学園が初めてですが、私自身もとても良い影響を受けています。子どもたちが食後に歯を磨いているのですが、とても良い習慣だと思います。今は、私も子どもたちと一緒に磨いています。バイリンガル教育を通して成長できるのは、子どもだけではなく、教師も同じだと、日々さまざまな面で実感しています。

キャリー先生 森組(3~5歳児)担任、アフタースクール英語クラス担当
○モンテッソーリ国際学園のバイリンガル教育について

当学園では、日常生活での手作業から、算数の概念、地理、歴史、動物、アート、読み書きなどを、日本語と英語の両方で学んでいきます。言語の基礎ができていると、子どもは、ほかの分野においても発達が早いですね。二つ以上の言葉ができる子どもは、頭の切り替えが早く、マルチタスクに長けています。ハーフのお子さんは、アメリカ人のお父さんには英語で、日本人のお母さんには日本語で話しますが、日本語だけしかできないお子さんでも、日を追うごとにイマージョン・プログラムに順応し、言語力は伸びていきます。

○バイリンガル教師として重要なこと

教師自身が、好奇心旺盛でオープンマインドであること。ほかの言語や文化に理解を示すこと。当学園では「運動会」や「お遊戯会」など日本の行事やイベントが行われますが、私も事前に知らないことは調べたりして勉強するようにしています。小さい子どもたちにとっても初めて経験することかもしれないから、まずは私が知っておかなきゃ!子どもたちのご両親との関係性も重要で、面談等でもコミュニケーションを図ろうと努力しています。一番嬉しかったのは、日本に帰国が決まった5歳の男の子のお父さんが、最後に男泣きして手紙をくれたことですね。最初は英語で話すことがイヤでたまらなかった息子が、英語が話せるようになって毎日が楽しくなって、日本に帰っても、英語クラスに行きたいと言っていると書いてあって感動しました。

アナ先生 空組(3~5歳児)担任
○バイリンガル教育における親のかかわり

子どもの脳は柔軟で、スポンジのようにいろんなことを吸収できます。それでも二つの言語を習得することは容易ではありません。私も、スペイン語と英語のバイリンガルとして育ったものの、正しい発音で英語を話す・読む、正しく書く、語彙を増やすまでには、非常に大変でした。私の両親は英語を話せなかったこともありますが、家では徹底したスペイン語環境だったおかげで、きちんと話す、読む、書くことができるようになりました。バイリンガル教育においては親御さんのかかわりも非常に重要で、子どもの言語習得には個人差があること、また年齢にもよりますが、ある程度の時間がかかることを理解する必要があります。

○バイリンガル教師として重要なこと

バイリンガル教師には、観察する力が必要だと思います。英語力だけでなく、子どもたち一人一人の性格、環境、生活スタイルなども考慮して指導する必要があるでしょう。教師と親御さんとの関係も重要で、私は日本語を話すことはできませんが、ご両親との面談では、日本人教師と協力してもらって、できるだけ正確に意思の疎通を図るように努めています。少しずつですが、私もこの学園で働くようになって、日本語や文化も分かるようになってきました。つたない日本語でもお話しすると、とても喜んでくれるし、ご両親や子どもたち、同僚との信頼関係が深まっていくのを感じています。

ベッキー先生 太陽組(5~7歳児)、担任アフタースクール英語クラス担当
○バイリンガル教育における私の哲学

私とキャリー先生は、通常のクラス以外にも、「アフタースクール」で、毎週火曜日と木曜日に英語クラスを担当していて、会話、語彙、ディスカッション、読み書き、文法、スペリングなどを教えています。一言語でも、子どもによって発達度合いは大きく変わりますが、二つの言語であれば、なおさらです。また日本語を母国語とする子どもたちにとって、やっかいなのは母音や子音で、日本語と英語では母音の数が違う上、子音の発音も難しいのです。日本語と英語のバイリンガルが抱える問題点には特に気を付けています。英語が分かる子どもたちは、英語ができなくて困っている小さい子どもたちを自然に助けたり教えてあげたりしています。子どもたちが小さい子どものロールモデルとして成長できるのも、当学園のバイリンガル教育のメリットだと思います。

○モンテッソーリ国際学園で働く喜び

行事やイベントを通して、日本語や文化、風習、習慣を学ぶことができるのが楽しいですね。子どもたちもいろんな日本語を教えてくれます。バイリンガル教師として一番喜びを感じるのは、子どもたちの成長を日々感じることができること。モンテッソーリ国際学園では、毎年12月に英語でホリデーショーを開催するのですが、昨年は『ポーラー・エクスプレス』を上演しました。9月に入園した当時は英語が話せなかったのに、12月には驚くほど英語が上達して演劇ができるまでに成長するんです。間違っても立ち止まらず、大変でも挑戦することを止めない子どもたちを見ると、こちらもとても刺激されます!

炭川純代先生から

モンテッソーリ国際学園では、3歳からイマージョン・プログラムを行っています。クラスでは日本語と英語を使用しますが、同時に母国語で言語の礎を作り、第二言語を習得するという学習法を行なっています。先日、日米教育センター会長の岩永留美先生を当学園にお招きし『バイリンガルに育てるには』というテーマで講義をしていただいた際、先生が強調されていたのは“バイリンガル教育は、子どもの知性の発達にとても大きな影響を及ぼすが、まずは、第一言語を確立することが大切である”ということでした。当学園でも、何より第一言語の確立に重きを置いてイマージョン・プログラムを行っています。つまり、子どもたちの日本語力、もしくは英語が第一言語の場合は英語力をしっかりと保持しさらに高めながら、第二言語を学んでいくのです。モンテッソーリ教育を通して、子どもたちは「よく人の話を聞く」「集中して物事に取り組む」「相手を理解する優しさを持つ」「自立」「考える力が育つ」という力を育んでいきますが、当学園のイマージョン・プログラムは、このモンテッソーリ教育を柱とし、素晴らしい相乗効果を生んでいることは間違いありません。

ただし、バイリンガル教育には、注意すべき点もあります。子どもの言語発達には時間を要すること、両言語がバランスよく同じ時期に早く伸びるとは限らないということ。より長期においてコツコツと努力する必要があること。そして、バイリンガル教育の難しさを十分に理解して辛抱強くサポートする大人達の協力が必要なのです。そういった問題点を踏まえ、当学園では、読み書きを含め、現地の幼稚園で必要な英語を習得することを目的に、日本人教師とアメリカ人教師がタッグを組み、子どもたちを導いていきます。また、教師の採用に関しては、日本とアメリカで私と榎本(幼稚部のディレクター)が直接面接を行いました。経験や資格はもちろんですが、幼児教育に対する情熱や異文化への理解・好奇心、コミュニケーション能力、何よりも人として尊敬できるという点に重点を置いています。当学園には、子どもたちの人格を形成する大切な時期にふさわしい信頼できる教師陣が揃っていると自負しています。

2019年 3月 8日更新

お知らせ
「2022—2023年度」新規生徒募集!
  • 「2~3歳クラス」募集開始
  • 「4歳クラス」定員残り3人(男児2名/女児1人)
  • 「キンダーガーテン」ウェイティングのみ
  • 「小学部1~3年」定員残り2人

※2022年5月11日時点の情報です。詳細は以下まで問い合わせください。

TEL: 714-444-2733
EMAIL: info@monteintel.org

皆さんのご意見、ご相談等ございましたら以下までご連絡ください。

info@monteintel.org

Columnist's Profile

ディレクターSumiyo Sumikawa(モンテッソーリ国際学園)

公益財団日本モンテッソーリ綜合研究所研究員。モンテッソーリ国際資格取得コース (AMS認定) ディレクター。日本にてモンテッソーリ教師の資格を取得。幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。American Montessori Society (AMS) 認定の幼児及び小学部の資格を取得し、Casa Montessori School にて3-6歳児のクラス担任として7年間勤務。2003年 University of California Los Angeles、で心理学学士号取得。行動療法士として自閉症児の支援をし、その活動の一環として、自閉症やその他の障害をもつ子どもたちにミュージカル“Cats”を指導。障害児とその兄弟姉妹たちで結成した“Miraclecats”のディレクターを務める。2009年College of St. Catherineにて教育学の修士号取得。現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。

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