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Vol.113 : 
日本在住の家族を含めたグリーンカード申請は可能?

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

20年近くの経験を活かし、ビザ・グリーンカード申請に関する情報を事例をもとにQ&A形式でお答えします。

Updated on 2016/ 2/ 12

Vol.8 : アメリカに小会社を設立し、L-1ビザを短期で取得する方法

Q

私は現在、日本のあるメーカーに勤めています。私の会社は、これまで代理店を通してアメリカでの販売を行ってきましたが、今度アメリカでのマーケットを拡大するため、アメリカに子会社を設立し、私がそこの責任者として赴任するように言われました。これからアメリカに会社を設立するわけですがビザを取得することは可能でしょうか。

A

日本の会社がアメリカに子会社を作り、その後日本からの駐在員のためのビザを申請するにはL、E-1あるいはE-2の可能性が考えられます。

まずL-1ビザは、日本にある会社(親会社)から米国内にある会社(子会社)に派遣される人のためのビザです。このビザの主な条件は、アメリカにある子会社の(原則的に)50%以上を日本にある親会社、もしくはその株主が、直接的あるいは間接的に所有していること、また申請者が、申請前の3年間の内、少なくとも1年間以上は、親会社あるいはその関連会社において、管理職または特殊技能者として勤務していること等が挙げられます。

次にE-1、E-2に関してですが、これは日米通商条約に基づいて規定されているビザで、日本の会社あるいは個人が、アメリカに対して貿易(E-1)あるいは投資(E-2)を行っていることを前提として申請を行うビザです。またこの貿易・投資を行っていること以外に、アメリカにある会社の50%以上の株式を通商相手国(日米間で貿易あるいは投資が行われている場合は、日本)の会社あるいは通商相手国の国籍保持者(米国籍やグリーンカードを保持している人は認められません)が所有していることが条件になっています。さらに申請者自身も通商相手国の国籍(パスポート)を有している必要があります。

E-1に関しては、アメリカに会社を設立した後、日米間で複数(少なくとも2回以上)の貿易を行っていることが必要です。そしてE-2に関しては、アメリカに会社を設立した後、日本からその会社の銀行口座に資本金を送金し、そのお金を米国内で使った後に申請することになります。従ってE-1、E-2とも、米国に会社を設立するだけでなく、その後貿易を行うかあるいは投資後そのお金を使うまで申請を行うことはできません。またこの申請は(既に、何らかのビザを所持してアメリカに滞在している場合を除く)、日本のアメリカ大使館・領事館にて行う必要があります。これには約3ヶ月を要します。従って、会社設立の手続を開始した後、ビザが取得できるまで少なくとも約半年は見ておいてた方が良いということが言えます。

このE-1、2と比較して、先述のL-1は、申請の条件として(特に最初の申請の場合)貿易や投資を行っている必要が無く、アメリカに会社を設立し、その後会社の銀行口座を開き会社の所在(存在)を示すため、賃貸借契約書を取得した時点で申請が可能です。もちろん延長の際には、会社の会計決報告算書等を添付する必要がありますが、最初の申請においては、事業計画書でこれを代用することができます。申請はEとは違って、最初にアメリカの移民局の許可を得る必要があります。この申請には通常3か月程度を要しますが、移民局に従来の申請料(325ドル+500ドル)に加えて1,225ドルを支払うこと(Premium Processing)によって15日に縮めることができます。移民局の認可を受けた後、日本のアメリカ大使館・領事館でビザの申請を行うことになります。従って、会社設立の手続を開始した後、ビザが取得できるまでに(日本の会社からの書類等が揃っている、場所を迅速に見つけることができることを前提として)、早ければ約2か月程度で可能になります。さらにEビザは、申請前に貿易あるいは投資を完了していなければならない―言い換えると申請前にビジネス上のリスクを大きく踏んでいなければならないのに比べて、Lビザは申請前に大きなビジネス上のリスクを負うことなく申請を行うことが可能であると言えます。

従ってあなたの場合、早い時期にビザの取得を希望されているのならば、最初はLビザの申請を行うことが賢明かもしれません。ただしEビザが通常5年(会社設立されてから間もなく、また貿易額や投資額が充分でない場合は、2年の場合も多いです)の期間が与えられるのに対して、Lビザは会社が登記されて1年以内の場合は、1年間の期間しか与えられないので、あなたがもし相当額の貿易あるいは投資を行うことを考えているのならば、1年の後にEビザに切り替えることも予定に入れておいた方が良いかもしれません。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

Updated on 2016/ 2/ 12

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Columnist's Profile

CEO/Attorney瀧 恵之(瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation)

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

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