CEO/Attorney
瀧 恵之 瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation info@takilawoffice.com

最新コラム

第113回 : 
日本在住の家族を含めたグリーンカード申請は可能?

バックナンバー

第1回 : 
日本企業向け:アメリカ進出時の就労ビザに関して
第2回 : 
E-1ビザ申請のための「貿易」の内容とその条件
第3回 : 
特殊技能者がグリーンカードを早く取得する方法
第4回 : 
【最新情報スペシャルコラム】 グリーンカード申請の待ち時間が大幅に短縮!
第5回 : 
特殊技能者ビザ(O-1)の条件に関して
第6回 : 
多種多様なJ-1ビザとその内容に関して
第7回 : 
グリーンカード取得までに子供が21歳を超えてしまったら
第8回 : 
アメリカに小会社を設立し、L-1ビザを短期で取得する方法
第9回 : 
投資家ビザ申請における知的財産に関して
第10回 : 
アメリカを長期で離れる場合のグリーンカード保持に関して
第11回 : 
アメリカに短期で頻繁に出入りする場合のビザに関して
第12回 : 
アメリカ市民権申請の条件と方法に関して
第13回 : 
学生のステータスで就労する方法に関して
第14回 : 
市民との結婚。グリーンカード申請国について
第15回 : 
日本に住む親をアメリカに呼び寄せる方法とは
第16回 : 
DV夫と別れても、グリーンカードの申請はできますか?
第17回 : 
飲酒運転で捕まってしまっても、ビザは取得できますか?
第18回 : 
アメリカに短期で頻繁に出入りする場合のビザに関して
第19回 : 
アメリカで研修。H-3ビザについて知りたい!
第20回 : 
「第1優先」での永住権申請とは
第21回 : 
グリーンカードスポンサーが亡くなってしまった! ~ケース1 条件付グリーンカードの場合~
第22回 : 
グリーンカードスポンサーが亡くなってしまった! ~ケース2 グリーンカード申請中の場合~
第23回 : 
グリーンカード申請中の出入国
第24回 : 
H-1B雇用主変更の手続き
第25回 : 
家族を通して申請永住権
第26回 : 
離婚してもグリーンカードの切り替えは可能?
第27回 : 
Lビザから配偶者スポンサーで永住権を取得するには?
第28回 : 
非移民ビザ新規則「グレース・ピリオド」について
第29回 : 
雇用ベース永住権申請の面接について
第30回 : 
永住権申請中の日本一時帰国について
第31回 : 
投資家用 最新ビザ・カテゴリーについて
第32回 : 
「H-1Bビザ」今年は4月2日から申請開始!
第33回 : 
アーティストとして、O-1ビザで渡米するには?
第34回 : 
アメリカでグリーンカード申請中。日本に一時帰国は可能?
第35回 : 
トランプ政権下で、学生ビザはどうなる?
第36回 : 
グリーンカード抽選に当選!手続きを教えてください。
第37回 : 
グリーンカード条件解除手続きは、離婚しても申請可能?
第38回 : 
ビザ申請却下=移民法廷に出頭?
第39回 : 
アメリカで起業家としてビザを取得するには?
第40回 : 
市民と結婚して日本在住。アメリカでの永住権申請はリスク大?
第41回 : 
グリーンカード申請時の健康診断って何?
第42回 : 
市民権申請中。日本支社に移動した場合の問題点は?
第43回 : 
LやHビザ保持者の運転免許更新について
第44回 : 
2019年から変わる!? H-1Bビザ申請について
第45回 : 
滞在資格の切り替え申請方法が変更に!
第46回 : 
DUIで逮捕された!E-1ビザはどうなるの?
第47回 : 
専攻科目によってOPT延長が可能?
第48回 : 
永住権申請中に一時帰国したい!アドバンス・パロールの申請最新事情
第49回 : 
E-1ビザ取得の厳しい現状。リスクを回避するためには?
第50回 : 
プラクティカルトレーニング後の労働ビザは?
第51回 : 
大学を出ていなくてもO-1ビザは取得できる?
第52回 : 
Lビザを持っているとグリーンカード取得が早いってホント?
第53回 : 
グリーンカードスポンサーの収入が基準を満たしていない場合はどうなるの?
第54回 : 
日米間の取引が激減。E-1ビザ更新にリスクはある?
第55回 : 
H-1B期限切れが近くても、グリーンカードに申請できる?
第56回 : 
配偶者のスポンサーは、永住権保持者VS市民のどちらがベスト?
第57回 : 
コロナウイルス対策による緊急措置。ビザの面接はどうなるの?
第58回 : 
新型コロナウイルスの影響で学費が払えない!卒業前に働く方法はあるの?
第59回 : 
新型コロナウイルス禍で、グリーンカード申請手続きがストップ?
第60回 : 
コロナ終息まで待つべき?グリーンカード申請とスポンサーについて
第61回 : 
グリーンカードおよび一部就労ビザの制限・入国停止について
第62回 : 
移民局からの追加書類請求で遅延発生!?コロナ禍での猶予期間はある?
第63回 : 
グリーンカードの新料金が上がる?10月より移民局申請料金改定!
第64回 : 
コロナ禍でのE-2ビザ更新。日本に帰国した方がよいの?
第65回 : 
ビザはあるけど、滞在許可証が期限切れ寸前。どうすればよいの?
第66回 : 
アメリカで念願のレストランをオープン!コロナ禍でのビザ申請や会社登録はどうなる?
第67回 : 
ビザ発給・入国停止命令延期!ビザ更新はどうなる?
第68回 : 
今年から、H-1Bビザの選択方法が「抽選」→「給与額優先」に変更!
第69回 : 
H-1Bビザ続報!給料額優先方法が延期に!従来の抽選申請は3月からスタート
第70回 : 
申請から半年。OPTのカードがまだ届かない!どうすればよいの?
第71回 : 
帰国せずにアメリカで転職手続きは可能?
第72回 : 
グリーンカードのスポンサーになるには?
第73回 : 
E-1保持者の更新。最新事情を教えて!
第74回 : 
Eビザからグリーンカード申請へ。どんな手続きが必要?
第75回 : 
永住権申請の健康診断。コロナワクチン接種は必要?
第76回 : 
「DV-2023米国抽選永住権」受け付け開始!
第77回 : 
日本滞在中に「Re-entry Permit」が切れてしまった!
第78回 : 
E-1配偶者ビザの就労許可更新中。許可を待たずに就労は可能?
第79回 : 
コロナ禍で会社が株式売却!L-1ビザは保持できるの?
第80回 : 
今年の「H-1Bビザ」申請について教えて!
第81回 : 
Lビザ失効寸前!他のビザや永住権申請は可能なの?
第82回 : 
日本勤務からアメリカに戻ってくるために永住権を取得できる?
第83回 : 
永住権取得中の海外出張。注意点や問題点は?
第84回 : 
グリーンカード申請中に退社。申請を続行することは可能?
第85回 : 
アメリカに子会社がない場合、どんなビザを取得すればよいの?
第86回 : 
コロナ禍で別居中の家族のためにグリーンカードを申請したい!
第87回 : 
アメリカ進出で駐在員を送りたい。どのような申請方法がある?
第88回 : 
「DV-2024 米国抽選永住権」受け付け開始!
第89回 : 
新しいグリーンカードが届かない! 日本一時帰国は可能?
第90回 : 
H-1B更新前にDUIで逮捕! どうすればいいの?
第91回 : 
コミカレ卒業後のグリーンカード取得要件とは?
第92回 : 
会社の売り上げと従業員数は「E-2ビザ」の更新に影響があるの?
第93回 : 
投資家ビザ取得を踏まえた「初期投資」について教えて!
第94回 : 
アメリカ滞在中に「ESTA」の期限が切れてしまったらどうする?
第95回 : 
グリーンカード申請中に労働許可取得。日本への一時帰国はできる?
第96回 : 
市民権取得のメリット・デメリットは?
第97回 : 
一社でサポートできるグリーンカードの申請数は?
第98回 : 
日本駐在のオファーあり。「Re-entry Permit」を申請した方がいいの?
第99回 : 
H-1B申請が難しい。他に就労ビザを取る方法はあるの?
第100回 : 
日本の従業員が「E-2ビザ」を早く取得できる方法はある?
第101回 : 
アメリカ進出を検討。最適な駐在ビザは?
第102回 : 
芸能人は知名度がないと「グリーンカード」取得が難しい?
第103回 : 
2025年に帰任の可能性。1年半でグリーンカード取得は可能か?
第104回 : 
2025年度枠「H-1B」ビザ中応募申請開始!
第105回 : 
日本から従業員を雇いたい。複数の「E-2」ビザを申請することはできる?
第106回 : 
「H-1B」ビザ所持者が、他の会社に移りたい場合はどうすればいいの?
第107回 : 
アメリカで起業したのに「E-2」ビザが却下された!どうすればいい?
第108回 : 
グリーンカード申請中でも合法的に就労できる方法はある?
第109回 : 
アメリカで店舗を構え居住するための手続きとは?①
第110回 : 
アメリカで店舗を構え居住するための手続きとは?②
第111回 : 
老後を見据え日本に帰国。でも永住権も維持したい!
第112回 : 
「DV-2025 米国抽選永住権」受け付け開始!
第113回 : 
日本在住の家族を含めたグリーンカード申請は可能?

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

20年近くの経験を活かし、ビザ・グリーンカード申請に関する情報を事例をもとにQ&A形式でお答えします。

2023年 6月 6日更新

第96回 : 市民権取得のメリット・デメリットは?

Q

アメリカ永住権を取得して10年以上たちます。同じくらい長くアメリカで暮らしている周りの人の多くが市民権を取得しているので、私も申請を考えているのですが、市民権取得によってどんなメリット・デメリットがあるのを知りたいです。人によって言うことが異なるので、いまだ決断できずにいます。市民権申請を行うべきかどうかを判断するのに参考になる情報を頂けないでしょうか。

A

本コラムでは、アメリカの市民権を取得することのメリット・デメリットや条件、手続きについて説明します。

市民権のメリット

まず、市民権になるメリットは、選挙権を持つこと以外に、アメリカ国外に滞在した場合でも、その権利を喪失しないということです。

グリーンカード保持者の方の場合は、アメリカから連続して180日以上出国し続ける、あるいは5年のうち合計で半分以上はアメリカに滞在していなければグリーンカードを喪失する可能性があります。後者の場合、実際には仮に5年のうち半分以上アメリカ国内で滞在していても、アメリカ国外での滞在日数が5年の半分に近いような場合(以下の例を参照)はグリーンカードを「喪失してしまう可能性」があります。

例: 過去2年のうち、アメリカから連続で180日以上出国し続けていなくても、ほとんどの期間をアメリカ国外で滞在しているようなケース

ここで言う『喪失してしまう「可能性」』とは、上記の条件を満たしていないことで必ずしも(自動的に)グリーンカードを喪失するという訳ではありません。実際にはアメリカに再入国する際に、入国審査官の裁量で判断されます。もしグリーンカードを取り上げられる判断がされた場合は、その場で放棄するか、コンテスト(Contest)を行い裁判所で「アメリカの居住を放棄していないことを主張する」かを選択することになります。従って、上記の条件を充足することができない場合は、再入国(Re-Entry) を申請する必要があります。

再入国許可証(Re-Entry Permit) の有効期限は2年で、2回以上の更新(4年以降)の場合は、1年ごとの更新になり、また、更新の申請はアメリカ国外で行うことはできず、更新(および指紋採取)のたびにアメリカに戻って行う必要があります。アメリカ市民権を取得した場合は、このような条件に振り回されることなく、アメリカの居住権を保持することができます。

さらに、これは、あくまで推測の域を超しませんが、将来的にアメリカ市民権を保持していないと、ソーシャル・セキュリティーのベネフィットを失う可能性(あくまで可能性)があるということです。20年以上前にこの法案が上がり、結果的には議会を通過しませんでしたが、その当時、多くの人がアメリカ市民権の申請を行い、市民権を取得するのに約4年もかかったという経緯があります。

市民権のデメリット

アメリカ市民権を取得するデメリットは、グリーンカードに比べて放棄することが難しい場合があることです。グリーンカードを放棄する場合は、申請書にグリーンカードを添えて移民局に郵送するだけですが、アメリカ市民権の放棄には、出国税(Exit Tax)の問題があります。個々のケースにより異なるので、会計士、税理士に相談するのがベストですが、簡単に言うと、アメリカで所持している全ての財産が納税対象になるということです。

また、日本の戸籍法では、他国の国籍を取得した時点で、どちらかを選ぶのではなく日本国籍を放棄したことになると記載されています。さらに、再度起こることは考えづらいですが、新型コロナウイルスによるパンデミックの間、日本にアメリカのパスポートで入国するには、ビザの取得が必要でした。

最後に、アメリカ市民権を取得した場合は、陪審員、裁判員の義務(Jury Duty)があります。アメリカ市民権を申請する資格としては、まず永住権を取得してから5年(アメリカ市民と結婚した場合は3年)を経過している必要があります。申請は、期間満了の3カ月前から申請を開始することができますので、永住権を取得してから4年9カ月(アメリカ市民と結婚した場合は2年9カ月)を経過していれば申請の開始が可能です。ただし、永住権を取得してから5年(アメリカ市民と結婚した場合3年)の期間が経過するまで、宣誓式には参加することができません。ただ、実際には3カ月以内に宣誓式にいたることはほぼあり得ないので、ここに注意する必要はまずないと言えます。

また、この規定期間(5年ないし3年)のうち、合計してその半分(5年の場合は30カ月)以上はアメリカに滞在していなければなりません。また、この規定期間の間に連続で180日間アメリカ国外に滞在したことがないことが条件になります。180日以上連続でアメリカ国外に滞在している場合の例外規定はありますが、アメリカの軍隊に属していたり、アメリカの政府機関あるいは宗教関連等の目的であったりしない限り、認められるのは一般的に困難であると言えます。

市民権の申請にかかる期間は1年前後で、指紋採取の後、面接や宣誓式に参加することになります。

あなたの場合は、上記のメリット・デメリットを考慮し、あなたの将来設計に合った判断をされることをお勧めします。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

2023年 6月 6日更新

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Columnist's Profile

CEO/Attorney瀧 恵之(瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation)

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

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