CEO/Attorney
瀧 恵之 瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation info@takilawoffice.com

最新专栏

第106次 : 
「H-1B」ビザ所持者が、他の会社に移りたい場合はどうすればいいの?

既刊号

第1次 : 
日本企業向け:アメリカ進出時の就労ビザに関して
第2次 : 
E-1ビザ申請のための「貿易」の内容とその条件
第3次 : 
特殊技能者がグリーンカードを早く取得する方法
第4次 : 
【最新情報スペシャルコラム】 グリーンカード申請の待ち時間が大幅に短縮!
第5次 : 
特殊技能者ビザ(O-1)の条件に関して
第6次 : 
多種多様なJ-1ビザとその内容に関して
第7次 : 
グリーンカード取得までに子供が21歳を超えてしまったら
第8次 : 
アメリカに小会社を設立し、L-1ビザを短期で取得する方法
第9次 : 
投資家ビザ申請における知的財産に関して
第10次 : 
アメリカを長期で離れる場合のグリーンカード保持に関して
第11次 : 
アメリカに短期で頻繁に出入りする場合のビザに関して
第12次 : 
アメリカ市民権申請の条件と方法に関して
第13次 : 
学生のステータスで就労する方法に関して
第14次 : 
市民との結婚。グリーンカード申請国について
第15次 : 
日本に住む親をアメリカに呼び寄せる方法とは
第16次 : 
DV夫と別れても、グリーンカードの申請はできますか?
第17次 : 
飲酒運転で捕まってしまっても、ビザは取得できますか?
第18次 : 
アメリカに短期で頻繁に出入りする場合のビザに関して
第19次 : 
アメリカで研修。H-3ビザについて知りたい!
第20次 : 
「第1優先」での永住権申請とは
第21次 : 
グリーンカードスポンサーが亡くなってしまった! ~ケース1 条件付グリーンカードの場合~
第22次 : 
グリーンカードスポンサーが亡くなってしまった! ~ケース2 グリーンカード申請中の場合~
第23次 : 
グリーンカード申請中の出入国
第24次 : 
H-1B雇用主変更の手続き
第25次 : 
家族を通して申請永住権
第26次 : 
離婚してもグリーンカードの切り替えは可能?
第27次 : 
Lビザから配偶者スポンサーで永住権を取得するには?
第28次 : 
非移民ビザ新規則「グレース・ピリオド」について
第29次 : 
雇用ベース永住権申請の面接について
第30次 : 
永住権申請中の日本一時帰国について
第31次 : 
投資家用 最新ビザ・カテゴリーについて
第32次 : 
「H-1Bビザ」今年は4月2日から申請開始!
第33次 : 
アーティストとして、O-1ビザで渡米するには?
第34次 : 
アメリカでグリーンカード申請中。日本に一時帰国は可能?
第35次 : 
トランプ政権下で、学生ビザはどうなる?
第36次 : 
グリーンカード抽選に当選!手続きを教えてください。
第37次 : 
グリーンカード条件解除手続きは、離婚しても申請可能?
第38次 : 
ビザ申請却下=移民法廷に出頭?
第39次 : 
アメリカで起業家としてビザを取得するには?
第40次 : 
市民と結婚して日本在住。アメリカでの永住権申請はリスク大?
第41次 : 
グリーンカード申請時の健康診断って何?
第42次 : 
市民権申請中。日本支社に移動した場合の問題点は?
第43次 : 
LやHビザ保持者の運転免許更新について
第44次 : 
2019年から変わる!? H-1Bビザ申請について
第45次 : 
滞在資格の切り替え申請方法が変更に!
第46次 : 
DUIで逮捕された!E-1ビザはどうなるの?
第47次 : 
専攻科目によってOPT延長が可能?
第48次 : 
永住権申請中に一時帰国したい!アドバンス・パロールの申請最新事情
第49次 : 
E-1ビザ取得の厳しい現状。リスクを回避するためには?
第50次 : 
プラクティカルトレーニング後の労働ビザは?
第51次 : 
大学を出ていなくてもO-1ビザは取得できる?
第52次 : 
Lビザを持っているとグリーンカード取得が早いってホント?
第53次 : 
グリーンカードスポンサーの収入が基準を満たしていない場合はどうなるの?
第54次 : 
日米間の取引が激減。E-1ビザ更新にリスクはある?
第55次 : 
H-1B期限切れが近くても、グリーンカードに申請できる?
第56次 : 
配偶者のスポンサーは、永住権保持者VS市民のどちらがベスト?
第57次 : 
コロナウイルス対策による緊急措置。ビザの面接はどうなるの?
第58次 : 
新型コロナウイルスの影響で学費が払えない!卒業前に働く方法はあるの?
第59次 : 
新型コロナウイルス禍で、グリーンカード申請手続きがストップ?
第60次 : 
コロナ終息まで待つべき?グリーンカード申請とスポンサーについて
第61次 : 
グリーンカードおよび一部就労ビザの制限・入国停止について
第62次 : 
移民局からの追加書類請求で遅延発生!?コロナ禍での猶予期間はある?
第63次 : 
グリーンカードの新料金が上がる?10月より移民局申請料金改定!
第64次 : 
コロナ禍でのE-2ビザ更新。日本に帰国した方がよいの?
第65次 : 
ビザはあるけど、滞在許可証が期限切れ寸前。どうすればよいの?
第66次 : 
アメリカで念願のレストランをオープン!コロナ禍でのビザ申請や会社登録はどうなる?
第67次 : 
ビザ発給・入国停止命令延期!ビザ更新はどうなる?
第68次 : 
今年から、H-1Bビザの選択方法が「抽選」→「給与額優先」に変更!
第69次 : 
H-1Bビザ続報!給料額優先方法が延期に!従来の抽選申請は3月からスタート
第70次 : 
申請から半年。OPTのカードがまだ届かない!どうすればよいの?
第71次 : 
帰国せずにアメリカで転職手続きは可能?
第72次 : 
グリーンカードのスポンサーになるには?
第73次 : 
E-1保持者の更新。最新事情を教えて!
第74次 : 
Eビザからグリーンカード申請へ。どんな手続きが必要?
第75次 : 
永住権申請の健康診断。コロナワクチン接種は必要?
第76次 : 
「DV-2023米国抽選永住権」受け付け開始!
第77次 : 
日本滞在中に「Re-entry Permit」が切れてしまった!
第78次 : 
E-1配偶者ビザの就労許可更新中。許可を待たずに就労は可能?
第79次 : 
コロナ禍で会社が株式売却!L-1ビザは保持できるの?
第80次 : 
今年の「H-1Bビザ」申請について教えて!
第81次 : 
Lビザ失効寸前!他のビザや永住権申請は可能なの?
第82次 : 
日本勤務からアメリカに戻ってくるために永住権を取得できる?
第83次 : 
永住権取得中の海外出張。注意点や問題点は?
第84次 : 
グリーンカード申請中に退社。申請を続行することは可能?
第85次 : 
アメリカに子会社がない場合、どんなビザを取得すればよいの?
第86次 : 
コロナ禍で別居中の家族のためにグリーンカードを申請したい!
第87次 : 
アメリカ進出で駐在員を送りたい。どのような申請方法がある?
第88次 : 
「DV-2024 米国抽選永住権」受け付け開始!
第89次 : 
新しいグリーンカードが届かない! 日本一時帰国は可能?
第90次 : 
H-1B更新前にDUIで逮捕! どうすればいいの?
第91次 : 
コミカレ卒業後のグリーンカード取得要件とは?
第92次 : 
会社の売り上げと従業員数は「E-2ビザ」の更新に影響があるの?
第93次 : 
投資家ビザ取得を踏まえた「初期投資」について教えて!
第94次 : 
アメリカ滞在中に「ESTA」の期限が切れてしまったらどうする?
第95次 : 
グリーンカード申請中に労働許可取得。日本への一時帰国はできる?
第96次 : 
市民権取得のメリット・デメリットは?
第97次 : 
一社でサポートできるグリーンカードの申請数は?
第98次 : 
日本駐在のオファーあり。「Re-entry Permit」を申請した方がいいの?
第99次 : 
H-1B申請が難しい。他に就労ビザを取る方法はあるの?
第100次 : 
日本の従業員が「E-2ビザ」を早く取得できる方法はある?
第101次 : 
アメリカ進出を検討。最適な駐在ビザは?
第102次 : 
芸能人は知名度がないと「グリーンカード」取得が難しい?
第103次 : 
2025年に帰任の可能性。1年半でグリーンカード取得は可能か?
第104次 : 
2025年度枠「H-1B」ビザ中応募申請開始!
第105次 : 
日本から従業員を雇いたい。複数の「E-2」ビザを申請することはできる?
第106次 : 
「H-1B」ビザ所持者が、他の会社に移りたい場合はどうすればいいの?

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

20年近くの経験を活かし、ビザ・グリーンカード申請に関する情報を事例をもとにQ&A形式でお答えします。

2018年 8月 23日更新

第38次 : ビザ申請却下=移民法廷に出頭?

Q

テレビのニュース番組で、ビザ申請が米国移民局に却下された場合、申請者は、移民法廷に出廷しなければならないと報道されていました。これは本当でしょうか?

A

米国移民局(通称USCIS:United States Citizenship and Immigration Services)は、2018年6月28日に、トランプ政権による不法滞在者対策の一環として「PM-602-0050.1」と称されるポリシー・メモを発表しました。ポリシー・メモとは、USCISが移民法や当該連邦規則集(8 CFR)の解釈や局の審査方針などを紹介する役目を持つと同時に、移民法の「ルール」の一角を担う大事な役割を果たすものです。

このメモの発行により、アメリカ国内でビザ・ステータス申請や永住権申請を行う方は、今まで以上に大きなリスクを負って申請書類を提出することになります。今後は、これらの申請が却下という結果に終わったことによって、申請者が“一瞬”でも不法滞在者とみなされる場合は、国外退去対象となり、移民裁判所への出頭命令(通称NTA:Notice to Appear)が必ず発行されることになります。ただし、例外として、USCISの書類審査官(通称ISO:Immigration Services Officer)が、出頭命令の発行に異議の申し立てをする場合が挙げられています。

例えば、あなたが米国内で、H-1B(特殊技能職)ビザ・ステータスからE-2(通商条約駐在員)ビザ・ステータスに書き換え申請を行うとしましょう。もし滞在資格の有効期限(I-94)が切れる直前に申請書類がUSCISに受理されたと仮定した場合、申請中は有効期限を超えても合法的に滞在しているとみなされます。しかし、ここでUSCISのミスにより、追加書類要請(RFE)がスポンサー会社にも担当弁護士も届かなかったことによって、書き換え申請が却下されたとします。通常ならば、却下通知から30日以内に、USCISに不服の申立て(Motion to Reopen)を提出することによって審査が再開するはずです。でも、新ポリシーが導入されると、このような状況の場合でも、あなたには高確率で出頭命令が発行されてしまうのです。理由は、あなたが“一瞬”でも不法滞在者になったからです。

ただし、出頭命令の発行のタイミングに関しては、細かい制限などはなく、却下された日から数カ月後や1年後になる可能性も考えられます。ただし、出頭命令が発行されれば、記載された日時に移民法廷に出廷することを余儀なくされ、欠席した場合は5年間、場合によっては10年間もアメリカへの入国が拒否される可能性があります。ちなみに、出頭命令は、申請者のアメリカの住所に郵送されてしまうと、たとえ申請者が既に帰国していた場合でも 有効なので、非常に厄介です。

また、申請者が出頭命令発行に基づき移民法廷に出廷した場合、移民裁判が開かれるため長期滞在を強いられます。移民法廷は、現時点での未処理の案件数が70万件を超えている政府機関です。「PM-602-0050.01」の導入により、未処理の案件数が急激に増えることは安易に予想できます。以前は、連邦規則集に定められた場合や詐欺行為が断定されたケースなど、限られた状況の中でしか出頭命令は発行されませんでした。申請者の犯罪行為を理由にケースが却下された場合も、2011年11月7日に発行されたポリシー・メモ「PM-602-0050」により、USCISとしては米国移民税関執行局(通称ICE:U.S. Immigration and Customs Enforcement) に出頭命令の発行の判断を委ねていました。USCISは、移民法上の「恩恵」審査をサービスとして提供する役割を執行する政府機関であることに対し、ICEは移民法違反を取り締まる役割を執行する政府機関という認識が、ここ数年は一般的だったのです。しかし、これからは「PM-602-0050.1」は、今までの方針を急激に転換させる上で、USCISに移民法違反を取り締まることを義務付けることになります。

この急激な方針転換の必要性に関して、USCISは、大統領令第13768号「アメリカ合衆国内部における公共の安全の強化(Enhancing Public Safety in the Interior of the United States)」を引用しています。この大統領令は不法移民を「かくまっている」とされる、いわゆる「聖域都市(Sanctuary City)」に対する連邦補助金停止を訴えるトランプ大統領の方針が発表され、世界メディアから注目を浴びたことで有名です。そこには「全ての国外退去強制可能な不法移民に対して移民法に忠実な執行を確保するために、利用可能な制度や資源を全て活用すること」と捉えられる文章が記載されています。果たして「PM-602-0050.1」の導入によって、不法移民の数が実際に減少されるのかは予測できません。

在米邦人にとっても非常に気になるニュースですが、幸いにも、USCISは7月30日に「PM-602-0050.1」の導入の延長を発表しています。理由としては、USCIS局内の各部門による新ポリシーの導入や対策方法が未だ明確でないことが挙げられています。けれど「PM-602-0050.1」が導入されてしまうと、今後のビザ申請は今まで以上に入念に、かつ滞在資格の失効予定日からかなり余裕を持って申請書類を準備することが重要になるでしょう。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。
今回のコラムニスト
Attorney大橋 幸生

カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)を卒業後、アメリカ法学博士号(JD)を取得。アメリカ法全般における判例リサーチの経験をもとに、総合的な見地からの移民法のアドバイスを行う。

2018年 8月 23日更新

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Columnist's Profile

CEO/Attorney瀧 恵之(瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation)

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

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