专栏

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

2016年10月 13日更新

第16次 : DV夫と別れても、グリーンカードの申請はできますか?

Q

私は、アメリカ人と夫と1年半位前に結婚・入籍しました。夫の話では、すぐにグリーンカードを申請してくれるとのことでしたが、なかなか協力してくれず、今に至っています。さらに、結婚直後より、夫の暴力がひどく耐えかねています。しかし離婚すれば、アメリカには残ることができないようで、またその場合に、主人の許可無く子供を日本に連れ帰ることは禁止されているようなので、どうしてよいのか困っています。何か良い方法はありますか。

A

あなたのように、暴力を加えられているにもかかわらず、アメリカに滞在したいがために、それを我慢しようと試みる外国人の配偶者の救済のために、1994年に Violence against Women Act (VAWA)に基づき規定されたBattered Spouse のカテゴリーにより、あなたはグリーンカードの申請を行う手段が考えられます。  手続としては、まずI-360 という申請書を移民局に提出し、その申請が認可された後、I-485という申請書類を移民局に提出します。この手続きは、一般的に長期間かかることも多々ありますが、I-485を提出した後は、約3か月で就労許可を得ることができますので、合法的にアメリカに滞在し、その間就労が可能になります。

この申請で必要なことは、まず、あなたの配偶者がアメリカ市民であると証明する必要があります。これには、あなたのご主人の出生証明、あるいはパスポートのコピーが必要になります。次に、当然のことですが、あなたに対して、あるいは子供に対して暴力が行われた事実を立証する必要がありまず。この暴力は(一部の例外を除いて)、口頭によるものではなく、物理的な暴力があったことを証明する必要があります。この場合は、あなた自身の宣誓供述書に加えて、警察、医師、カウンセラー、あるいはシェルターからのレポート等がその有力な証拠になります。例えば、裁判所から接近禁止命令(Restraining Order)が出ている場合も、有力な証拠として扱われます。 または目撃者、および事情を知っている人からの宣誓供述書をもらうのも有力な証拠になります。怪我の写真等も同様です。 加えて、当該婚姻が正当な理由(グリーンカード目的でないこと)に基づいて行われたものであり、あなたとご主人が同居していたことも証明する必要があります。これには、結婚、あるいは交際していた時の写真、銀行の共同名義の口座、健康保険、自動車保険、生命保険、(同居していたときに送られてきた2人の名前の入った)郵便物、(結婚前後の)ラブレター、カード、(結婚前に頻繁に連絡を取っていたことを示す)電話の請求書等を提出するのがよいでしょう。また、事情を知っている人からの宣誓書、カウンセラーからのレポート等も有力な証拠になります。 さらに、申請者がアメリカを離れると、当該申請者にとって過度に困難な状況を引き起こすことがあると立証する必要もあります。あなたの場合、子供がいることもこの理由に当てはまると考えられます。もしあなたが(例え今回の結婚以前であっても)アメリカに長期間生活していたのであれば、これも理由の1つとなります。  申請後は、離婚の手続きを行っても、申請手続きに影響することはありません。また特別な条件を満たせば、この申請は暴力を行った配偶者と仮に死別、あるいは離婚していたとしても、離婚成立後2年以内であれば、申請を行うこともできます。また上述のように、この手続き方法は、Violence against Women Act(VAWA)によって規定されているもですが、同じ状況下にある男性であっても、同様に申請が可能であるとされています。さらに、配偶者がアメリカ市民でなく、グリーンカード保持者の場合であっても、この規定が適用されるとされています。

 

この申請では、申請時において、あなたが合法的なステータスでアメリカに滞在している必要もありません。さらに、仮にあなたが強制送還の手続きに入っていたとしても、この手続きを行うことにより、当該強制送還の手続きを停止できる可能性も充分にあります。この手続きの最後には、(ほとんどの場合が)面接を受けることになりますので、面接において、あなた自身が暴力を受けた内容をしっかりと説明できるよう準備して臨まれることをお勧めいたします。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

2016年10月 13日更新

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

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