米国公認会計士による、わかりやすい!会計・税金101

アメリカの生活ではつきものの、お金の話、会計や税金にまつわる基本情報や知っていると役に立つトピックスを選んでお届けします。

2022年 2月 16日更新

第2次 : タックスリターンについて①

タックスリターンの申告が近づいています。本コラムでは2回に分けてタックスリターンに関する情報をお届けします。今回は基礎知識や仕組みについてご説明します。

Q
タックスリターン(Tax return)について教えてください。
A

連邦政府(Federal)と自分の住んでいる(及び収入を得た)州または市に、日本でいう確定申告を行うことを指します。過払いの税金の払い戻し、あるいは不足分を納税することで、追徴税や罰金を防ぎます。市民権やステータスにかかわらず、アメリカ国内で所得があれば申告が必要です。ただし一部のビザ保持者は除外されることもあります。

Q
パートタイムやOPTなど、収入が少なくても必要でしょうか?
A

タックスリターンは収入額にかかわらず申告しなければなりません。控除やクレジットなど様々な税法上のシステムがありますので、少額の収入であってもお金が戻ってくる可能性があります。

Q
申告期間はいつですか?
A

2022年4月18日(月)に締め切り予定です。2021年は新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、5月まで延期されました。今年も政府からイレギュラーな対応を求められる可能性がありますので最新情報に注意してください。また、コロナ禍で失業・転職者が例年より多くなっています。税理士との準備や政府の対応も通常よりも時間がかかる可能性があります。準備は早めに始めましょう。

Q
締め切りを過ぎてしまった場合は?
A

IRSよりペナルティーが課せられる場合があります。また、遅延期間分だけ納税額に対して、利子が算出され増税されることがあるので、締め切りに間に合わない場合や、締め切りを過ぎてしまったら早めに会計士に相談しましょう。

Q
申請に必要なものは何ですか?
A

申請者は必ずソーシャル・セキュリティー・ナンバー(SSN)を保有している必要があります。新たに米国にやって来た場合は、社会保障事務局に申請し取得します。

ただし、現在も新型コロナウイルス感染拡大の影響で、取得プロセスに時間を要する場合があるので注意が必要です。通常、就労ビザの配偶者・扶養者など、SSNがない人は、ITIN(Individual Taxpayer Identification Number)と呼ばれる個人用納税者識別番号を申請します。今回のパンデミックでSSNが取得できていない人にも、ITINの取得が推奨されたのですが、こちらもIRSの対応が停滞し取得できないケースが多くあります。納税義務がある限り、タックスリターンは過去にさかのぼって申請可能です。こういった事情がある場合、対応がそれぞれケース・バイ・ケースになるので、会計士に別途相談することをお勧めします。

もう一つ、勤務先から送付されるW2 フォームが申請に必要です。これは1年間の収入と源泉徴収について記した書類です。万一紛失した場合は、再発行を申請してください。

Q
アメリカ国外にいる場合はどうすればよいですか?
A

申告はどこにいても義務付けられています。オンラインや郵送でも申告は可能です。また、基本的にはどの会計事務所も海外からの相談に対応してくれると思います。今年中に日本に永久帰国したり、別の州に転居したりした場合は、別途申請が必要です。

注: 本記事は一般的な情報をまとめたものです。詳細は専門家にご相談することをお勧めします。

2022年 2月 16日更新

Columnist's Profile

会計士・CPA尾崎真由美(Todd's Accounting Services / 尾崎会計事務所)

ワシントン州会計士、法学修士、経営学修士、尾崎会計事務所代表、シアトル国際会計代表も兼務。長年にわたる経験と知識で個人のお客さまから法人のお客様まで、個々のニーズに合わせたサービスを提供してきた。個人向けタックスリターン、相続税、その他タックスプランニングはもちろん、法人向けサービスとして会社設立サポートやアウトソース、ブックキーピング、会計税務コンサルティング等、幅広いサービスを展開。親切、お客さまに満足していただけるサービスを提供する。

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