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まるわかりハーグ条約
ハーグ条約は国境を越えた子どもの移動に関する条約です。多くの皆さんに正しく知ってもらえるようにコラムを執筆します。ぜひお読みください。(本コラムはロサンゼルスの事例を中心に紹介しています。)
中央当局が提供している支援
日本中央当局では、返還や面会交流に関する申請を受け付けているほか、返還/面会交流の実現のため、審査の結果、援助決定がなされた事案については、残された親/子どもと会えない親と子どもと一緒にいる親の両方に支援を提供しています。
子どもが外国から日本に連れ去られ、残された親が子どもの返還を求めた場合、ハーグ条約上の手続きは日本で行われることになりますが、その際に日本中央当局が提供している支援についてご説明します。申請書が日本中央当局に提出された後、子どもの所在特定を行います。中央当局は、不法に連れ去られ、又は留置されている子どもの所在を特定するために、全ての適当な措置をとることとされており、実施法上も申請の対象になっている子どもと同居している親の氏名又は住所もしくは居所を特定するために、関係機関(地方公共団体等)に対して情報の提供を求めることができるとされています。
所在特定は日本中央当局から支援内容等を案内する手紙を子どもと同居している親に送付するために必要なものであり、子どもの住所は申請者には伝えません。また、申請者が子の返還裁判の申し立てを行う際には、裁判所から日本中央当局に調査嘱託が寄せられ、裁判所にのみ子どもの住所情報を開示しています。なお、返還裁判は、東京家庭裁判所及び大阪家庭裁判所に管轄が集中していますが、申請者が子どもの住所・居所が分からない場合は、東京家庭裁判所に申立てをすることにより裁判手続を進めることができるようになっています。
子どもの連れ去り問題を解決するため、両親が自発的に話し合い、合意により友好的な解決を図ることは、子どもの福祉の観点から最も望ましいと言えます。そのため、日本中央当局では、当事者が話合いを通じて問題を解決することができるよう、当事者間の連絡仲介のほか、協議のあっせんを行う裁判外紛争解決手続(ADR)機関を紹介し当事者間の話合いを促進しています。
ADR機関による協議のあっせんとは、主張が相対する当事者に話合いの機会を与え、公正中立な第三者が双方の主張の要点を確かめ、お互いの誤解を解くなどして、当事者間に和解を成立させて紛争を解決に導こうとする制度です。ADR機関の申立手数料や合意成立手数料などの利用手数料は原則無料(外務省が負担)で利用することができます。迅速かつ柔軟に話合いの場を設定することができる(話合いを早く進めやすい)、裁判手続における和解よりも、柔軟な解決が可能(解決のための条件の選択肢が増える)といったメリットがある一方、話合いの場に相手方を出席するよう強制することができないといったデメリットもあります。詳細については、こちらをご覧ください。
ハーグ条約事件について、弁護士に依頼したいと思っても自ら弁護士を探すことが難しいという方のために、日本中央当局を通じて、日本弁護士連合会(日弁連)がハーグ条約事件に対応できる弁護士3名を無料で紹介するものです。この支援は、裁判所での審理に際し、弁護士に依頼したい方、裁判外の紛争解決手続(ADR)での解決を弁護士に依頼したいという方が対象となります。弁護士紹介は原則お1人1回限りとなっており、申込みから紹介までには通常2週間程度お時間がかかります。また、紹介された弁護士に2週間以内に連絡していただく必要がありますので、弁護士紹介を申し込むタイミングには注意が必要です。なお、弁護士に委任する場合の弁護士費用は自己負担になります。
ハーグ条約にもとづいて、子の返還や面会交流などを日本の裁判所に申し立てる際に、弁護士費用等の貸付制度である法律扶助制度を利用できる場合があります。日本の法律扶助制度は、無利息で弁護士費用、通訳費、翻訳費などを立替える制度であり、原則として分割で返金する必要があります。ハーグ条約事件では、日本の裁判所での子の返還手続、出国禁止命令、強制執行、子との面会交流手続等(示談交渉、裁判外紛争解決手続(ADR)を含みます)において、弁護士費用と実費を立替えます。
法律扶助制度を利用するには、収入等が一定額以下であることなどの要件を満たす必要があります。なお、日本以外の国での裁判手続等については、民事法律扶助制度の対象となりませんので、ご留意ください。
子の返還手続きが日本で行われる事案(子どもが外国から日本に移動した事案)において、裁判所に外国語で書かれた証拠書類を提出することを希望される場合には、その書類等を外国語から日本語に翻訳する支援を行っています。翻訳支援を受けるためには、日本の中央当局による援助決定を受けていること、上記の翻訳対象に該当する書類であること、翻訳費用が外務省の予算の範囲内であることなどの条件はありますが、両当事者が利用することができます。
面会交流とは、別居後もしくは離婚後、一方の親(監護親)のもとで暮らす子どもが離れて暮らす親(非監護親)と直接会ったり、メールや電話をしたりして、コミュニケーション/交流をすることを言います。
日本中央当局では、面会交流支援機関の職員に立ち会ってもらう対面での面会交流とWeb見まもり面会交流(オンライン上でソーシャルワーカーが介在して行われる面会交流のこと)の2種類の支援を提供しており、どちらも4回までは無料で利用することができます。なお、対面での面会4回をWeb見まもり面会交流に振り替えた場合は、Web見まもり面会交流を8回まで利用することができます。面会交流支援を申請した方だけでなく、子の返還援助申請をされた方も支援の対象になります。
面会交流支援を利用するためには、事前に、父母(代理人)の間で以下の面会交流の内容について合意していることが必要となります。
- 方法(直接会うか、Webを利用するか)
- 場所(支援機関の施設内で行うか、公園やショッピングモールなどそれ以外の場所で行うか)
- 面会時間の長さ ※支援機関によっては、支援可能な時間が定められている場合があります
- 利用する支援機関
詳細については、こちらをご覧ください。
Updated on 2020/11/ 9
- ホームページ: 外務省 ハーグ条約
- 動画: Youtube
- Twitter: @1980HaguePR
Information
- 広報班外務省ハーグ条約室(外務省ハーグ条約室)
日本では2014年4月1日にハーグ条約が発効しました。ハーグ条約では各締約国に中央当局の設置を義務づけており、日本では中央当局を外務大臣とし、その実務を外務省ハーグ条約室が担っています。
ハーグ条約室では、少しでも多くの方に正しくハーグ条約について理解してもらうべく、国内外で広報活動を行っています。
ハーグ条約について様々な角度から解説していきます。ご不明な点がありましたら、以下までお問い合わせください。
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