【ココロの健康のために】CA州公認心理カウンセラーが伝える正しい心理学

落ち込みたくない、心配しすぎたくない、子育てで悩みたくない。そんなあなたに、「うつ病と不安、子どもとその家族」専門のCA州公認心理カウンセラーが、心に関しての正しい知識や対処法をお教え致します。

2020年11月 18日更新

第3回 : 落ち込んでもいい、落ち込み続けなければ~ 悲しい・落ち込んだ気持ちへの対処法

こんにちは。カリフォルニア州公認心理カウンセラーの荒川龍也です。

新型コロナウイルスの脅威が収束する気配が無い中、それが原因でさまざまなことが思い通りにいかず、落ち込んでしまう方もたくさんいるのではないかと思います。今回は、そのような方のために、ご自身ができることを解説しましたので、お役に立てれば幸いです。

落ち込むとは

落ち込むという状態には、2つの種類があります。落ち込むべくして落ち込んでいる状態と、不安になって落ち込んでいる状態。前者は、例えば誰か大切な人を亡くした時、仕事で期待通りのパフォーマンスを出せない時、テストで良い点数が取れなかった時など、落ち込んで当然の状態で落ち込んでいる時のことです。後者は「もし〇〇になってしまったらどうしよう」など、未来のことを考え過ぎてしまい、まだ起こっていないにも関わらず、脳がまるでその起こっていない未来を経験しているかのように感じてしまい、その結果として落ち込むことを指します。今回お話しするのは前者です(後者に関しては、第1回目の記事。「不安・心配の対処法~ポジティブ思考に騙されるな!」をご覧ください)。

気分が落ちてしまうことはしょうがない

生きていれば、嫌なことはいくらでも起こります。人間関係がうまくいかない、仕事がうまくいかない、行きたかったところに行けないなど、挙げればきりがありません。特にコロナ禍では、仕事が減った、収入が減った、友達に全く会えない、日本に帰れない、子どもの習い事をさせられないなど、多くの悲しい出来事があったのではないかと推察します。私自身も、子どもの幼稚園を辞めさせることを断腸の思いで決断しました。

このように、嫌なことが起こる、自分の思い通りにならないのは当然のことです。そして、こういったことが起こった時、「悲しい」「辛い」「苦しい」という感情が発生するのも自然な感情ですし、それでいいのです。嫌なことが起きて喜ぶ人などいないでしょう。

逆に無理にポジティブな気持ちにしようとするのは、実は心の健康にとっては良くないことも、研究結果で分かっています。しかし、なぜかネガティブな気持ちを感じること自体が「ダメなこと」というのが日本の風潮であり、アメリカにいる日本人の方々にもよく見られる傾向です。逆説的ですが、嫌なことが起こった時に、悲しい、辛い、苦しいという感情を感じていると認識することが、そこから立ち上がるための第一歩なのです。

脳がつく嘘

突然ですが、脳は嘘をつきます。何を言っているのだと言われそうですが、我々が人間として生きるために絶対的な存在であるはずの脳は、場面によっては信用できないこともあります。その1つが落ち込んだ状態の時です。

落ち込んでしまい、それが続いてしまうと、人間は人に会うのを避けようとしたり、普段だったら好きなことでもやらなくなったり、なかなか体が動かなかったりします。この3つの症状を聞いて、何かに似ていると思いませんか?そう、風邪です。人間、風邪になると人に移したくないので人に会うのを避けます。また、体を休めるために、活動を制限します。不思議なことに、落ち込んだ状態を、脳は「風邪」と誤解してしまうことが分かっています。しかし、風邪の時に受ける指令と同じものを脳から受け、それを素直に聞いてしまうと、落ち込んだ状態は悪化してしまいかねません。

落ち込み続けないために

落ち込んでしまうことは当然でも、落ち込み続けていては生活に支障をきたしてしまうので、落ち込み続けることは避けたいです。では、落ち込み続けないためにできる代表的な3つのことを説明しましょう(他の3つについては別の記事で改めて説明します)。

人に会う

前途したように、人に会わないことは、落ち込んだ状態を悪化させてしまいかねません。実際独りでいる、人に会わないというのが、落ち込んだ状態を引き起こしてしまう一番の原因だということも分かっています。

落ち込んでいる時というのは、人に会いたがらなくなってしまいがちです。しかし、脳が風邪だと誤解し、風邪の時にするべき行動をしていては、落ち込んでいる状態から抜け出すことは難しくなる一方です。

つまり、できるだけ人に会った方が落ち込んだ状態から脱却しやすいのです。友人や趣味を共有する仲間など、楽しい時間を共有できる人が良いでしょう。確かに、今のご時世は、新型コロナウイルスが気になることは確かですが、フィジカルディスタンスを保つ、マスクをするなど、推奨されていることを守っていれば人に会うことも可能です。また、最近ではテレビ電話を通じて飲み会をする「Zoom飲み」なども頻繁に行われているようです。例え面と向かって会うことができなくても、テクノロジーを駆使して、人と接触しても気分が違ってくるかもしれません。

運動

体を動かすというのも、普通の風邪の時には避けることです。落ち込んでいる時も、何に対してもやる気がおきず、体を動かすことなどもっての外と思われても当然です。しかし、それでも体を動かすことが、落ち込んでいる状態から脱出するためのキーポイントになるとしたら、どうでしょうか。実際、心の病のために処方される薬よりも定期的な運動をしたほうが、落ち込んだ状態から脱出できることも研究結果によって分かっています。

落ち込んでいない状態ですら運動を続けるのが難しかったのに、コロナ禍でどうやって?と思われると推察します。確かにジムには行けませんが、運動はできます。問題は持続できるかです。そのためにできることがいくつかあります。まず、分かりやすい目的を作ってください。体重を落とすでも、体重維持でも、運動をすることに目的を作った方がやる気になれます。ディズニーランドを訪れる人は、平均で11km程歩くそうです。目的があれば運動はしやすくなります。楽しめるようにすることも大事です。つまらない運動はしたくありませんし、それでは続きません。そのために、誰かと一緒に運動することで、それが楽しみとなってくれるかもしれません。ルーティーン化する事も重要です。何曜日の何時からどれくらいどういう運動をするかを決めてしまい、それを実行し続けることで、いつしか生活の一部となってくれることでしょう。最後に、運動は有酸素運動である必要があります。有酸素運動とは、スイミング、ランニング、サイクリング、ハイキングなどです。

睡眠

研究結果によると、だいたい8時間の睡眠が、心の健康のために必要であることが分かっています(個人差はあります)。睡眠とは習慣のたまものであり、睡眠のための良い習慣ができていれば、睡眠を十分に摂れますし、逆にそれができていなければ睡眠不足になってしまいかねません。そのために気を付けるべきことがあります。

まず、ベッドでは睡眠以外のことはしないようにしましょう。ベッドは夜寝るための場所であることを体に記憶させます。また、毎日同じ時間に起床することも重要です。これらの癖を付けると、もともと脳にある睡眠欲を正常に働かせることができ、眠れないという状態を回避することができます。昼寝も避けた方がいいでしょう。人によっては昼寝をしても睡眠に問題がない人もいますが、もし睡眠に問題を抱えているのならば、避けた方がいいです。カフェインもできるなら避けましょう。カフェインは体を起こしてしまう作用があります。また、寝るためにお酒を飲むのもお勧めできません。お酒に入っている物質が夜中に目覚めさせてしまう可能性があるからです。そして、夜寝る1時間前のテレビやスマホの使用も避けましょう。それをしてしまうと、脳が「まだ昼なんだ」と勘違いしてしまい、結果眠りにくくなってしまいます。最後に、考えたくないことを考えてもいいのですが、考えすぎないようにしましょう(方法に関しては第1回目の記事をご覧ください)。
最後に

注意して頂きたいのが、上記で挙げたことをできたから必ず落ち込まなくなるというわけではありません。繰り返しになりますが、大事な人を亡くしてしまう、行きたかったところに行けない、友達に会えないなど、人間は嫌なことがあればネガティブな気分になって当然です。ネガティブな感情はあって当然で、それを無理やりポジティブにする必要はありません。むしろ、ネガティブな気持ちを無理やり押し込めることで、後で大爆発を起こしたり少しずつ心を蝕んだりと、心の健康には良くないことも研究結果によって分かっているのです。

そして、もう1つ注意してもらいたい点があります。もし、あなたが心の病の診断が出てしまうほど、心の健康が脅かされてしまっている場合は、ここに書いてあることを実行するだけでは十分でないかもしれませんので、まずは、心理カウンセラーにご相談することをお勧めします。

《参考文献》
  1. Ilardi, S. S. (2009). The depression cure: The 6-step program to beat depression without drugs. Da Capo Lifelong Books.

2020年11月 18日更新

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Columnist's Profile

カリフォルニア州公認心理カウンセラー (Licensed Marriage and Family Therapist)荒川龍也(Tatsuya Arakawa Therapy)

富山生まれ、名古屋育ち。小学校高学年頃からいじめなどが原因で心の病を患う。中学時には教師からの体罰に苦しみ、いじめが原因で不登校に。16歳で高校中退。2年間のカウンセリングを受けた後、夜間高校に入学。老人ホームでのボランティアで人の話を聞くことで聞く事の喜びを学ぶ。すぐに学校を辞めてしまう生徒が多い夜間高校で、話を聞くことにより下級生の高校中退を何度も防ぐことができ、話を聞くことの力を知る。この頃アメリカに短期留学し、魅了される。愛知県の大学院教授にアメリカは日本より100年心理学が進んでいるといわれ、心理カウンセラーを目指して渡米。カリフォルニア州立フラトン校大学院カウンセリング専攻卒業。大学院卒業後、3000時間のインターン時間を終え、国家試験を二つ合格し、現在のカリフォルニア州公認心理カウンセラーの資格を取得。子どもとその家族、重度の精神障害者とその家族、薬物中毒のクライアント等、多岐にわたり経験を積む。現在はトーランスで開業し、カウンセリングを提供。専門は、子どもとその家族、不安とうつ病。

Tatsuya Arakawa Therapy

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