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- 新型コロナウイルスと歯科診療
米国の歯科診療 101
米国の歯科診療は日本で行われている診療と似ているものもあればかなり違いがあるものもあります。今回のシリーズでは米国の歯科診療101と題して簡単にこちらでの歯科診療が日本のものとどう違うのか、また米国で行われている一般的な治療から最先端の歯科診療に至るまでをDr.伊藤が分かりやすく説明します。
第23回 : 新型コロナウイルスと歯科診療
日本では、5月25日現在で、全ての地域での緊急事態宣言の解除が行われている中、アメリカも少しずつ街を再開させようという動きが始まってきております。当院でも、3月の16日の週から基本的には休院しており、緊急患者のみの診療を行って来ました。当初は、30日間のロックダウンということで、一旦全ての患者さんの診察を4月15日以降にリスケジュールしたのですが、さらに30日間の延長ということになり、5月15日までとなりました。ところが、5月になると、それが6月まで延長されるだの、あるいは7月までなどといったさまざまな情報が入り乱れておりました。
歯科医院というのは、基本的には“エッセンシャルビジネス”と位置付けをされており、我々はロックダウンの間も診療を行うことはできたのですが、米国歯科医師会とカリフォルニア歯科医師会からの、各院で自粛し患者の診察や診療をできるだけ行わないことという強い要請により、当院でも急患者の診療以外は休院しておりました。こんなに長い間仕事をせずに自宅にいたのは、良くも悪くも開業以来で、初めての経験でした。5月を過ぎると、歯科医師会から新たな指針が示されましたが、内容はとても曖昧で、歯科医院任せといった感じの内容でした。つまり、医院を再開しろとも閉鎖しろともどちらも示さず、ただ、各歯科医院の判断で開院をするよう促しておりました。また、その中で開院するためには、最低限これだけの準備をするようにといったことも示してありました。
以下に、その最低条件と、また今後歯科診療がどのように変わってくるのかといったことをご紹介いたします。
歯科医院を再開するにあたって、我々は、次の項目にあるPPE(Personal Protective Equipment :個人用防護具)を用意する必要がありました。
- タッチフリーの体温計
- 受付に設置するハンドサニタイザー(消毒用アルコールジェル)
- 従業員のためのN95もしくはKN95サージカルマスク
- フルフェイスカバーのクリアシールド
- 受付の窓口に置くPlexiglasの分離壁
- ひざ下まで覆うことができる使い捨ての臨床ガウン
これらの物は、どれひとつとっても、なかなか確保の難しい品になってしまっています。通常の歯科材料のディーラーでは在庫がなく、入手が困難なため、我々はありとあらゆるルートを通して、何とか診療再開に向けた準備を整えました。また、上記のリスト以外にも、次のようなことで感染防止策を行っております。
- 予約を確認する際に、患者さんの現在の健康状態、また近隣の感染者の有無の確認。
- 来院時の体温確認、また問診票にて近日中の渡航の有無、家族を含む接触経験のある近隣者の感染の有無の確認。
- 診療台の徹底した消毒を、患者さんの来院前後で行う。
- 外付けの可動式高速吸引機の設置による治療時に出る粉末や唾液などの吸引(この機械は現段階において納機待ち)。
- 1人の患者に十分な予約時間を取り、消毒や問診の時間にあてる。
- 待合室には家族でない方が一度に入らないようにする。もし被るようなことがあれば別室で待機をしてもらう。
当院では、上に挙げられたPPEの入手が完了したため、5月14日より、正式に診療を再開いたしました。感染者は1人も出さないという高い目標の下、各従業員も最新の注意を払って診療をしております。ただし、引き続き、ハイリスクの患者さんの来院はできるだけご遠慮を頂いております。どうぞ御理解のほど、よろしくお願いいたします。
- 高齢者(目安は65歳以上とされています)。
-
肺に欠陥のある方。
- 喘息の持病がある方
- ヘビースモーカー
- その他の免疫力が損なわれる持病をお持ちの方。
- 2週間以内に感染者、もしくは感染の疑いのある方との接触があった方。
- 自宅に、上の1~4に該当する方が同居している方
未だに、全米で経済の再開に向けては、開ける・開けないで分断が起きております。悲しいことに、それらの決断が政治利用されてしまっているのも事実です。今も我々の不安はぬぐいきれませんが、我々は社会を再開させる必要があります。心配だからと言って外出をしないということは、社会は最終的にワクチンが出回るまで1年以上は閉鎖をせねばなりません。それは、経済的に永久的なダメージを与えます。一部の政治家は、それを利用して進出しようとしております。最新の注意を払い、最善を尽くして日々の生活を送っていくことが、我々のこれからの新しい日常になっていくのだと思います。今の環境は、私に何となく1990年に起こったエイズ問題発生の頃を思い起こさせます。当時もこの先どうなるのだろうと誰もが思っていたことでした。こちらでよく耳にする言葉で “We are in this together” があります。苦しいのはあなた1人の問題ではありません。人類皆が共有している問題なので共に頑張りましょう、といった意味が込められているのだと思います。
歯科診療に対する疑問点、不安、心配など、ご不明な点はまずお電話でご相談ください。
2020年 6月 8日更新
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- LA ・ ホンダプラザデンタルクリニック ... 213-687-3895 (テキストメッセージも受付可)
- OC ・ ロフトデンタルスタジオ ... 714-549-7030
Columnist's Profile
- 歯科医師伊藤 仰一(Dr. Kouichi Itoh / ホンダプラザ歯科医院 / The Loft Dental Studio)
1980年、歯科医師になるため渡米。米国歯科医師免許(DDS)取得後、ロマリンダ大学大学院口腔インプラント外科講座修了。歯科補綴専門医コースに一年間所属。その後、助教授として同大学に在籍。米国における日本人としては初めてのインプラントロジストとして日本口腔インプラント学会や歯科大学での招待講演多数。現在も日本においてインプラント研修会の講師を多数務める。2001年よりリトル東京ホンダプラザにて開業。2007年にはオレンジ郡コスタメサに2件目のオフィス、The Loft Dental Studioをオープン。インプラント治療を中心とする審美歯科医院で両医院とも最新の設備を装備。レーザー診療をはじめ、今話題のマイクロサージェリーも提供。その他に一般歯科、口腔外科、歯槽膿漏、麻酔科、Invisalign 歯列矯正、Lumineers治療も提供。患者さんは州外、日本からの来院もある。
コラム羅府新報歯科診療最前線2005年~2007年
TJS日本語ラジオ放送デンタルアベニュー30分放送平日毎日2007年~2008年
コラムTV ファン「歯科診療こぼれ話」2007年~2010年
現在、TJS Japanese Radio FM106.3 の番組 LA Morning にて『Dr.伊藤のデンタルアベニュー』を隔週火曜日に放送中。
Dr. Kouichi Itoh / ホンダプラザ歯科医院 / The Loft Dental Studio
- TEL:
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Dr. Kouichi Itoh / ホンダプラザ歯科医院 / The Loft Dental Studio について詳しくはこちらをご覧ください。
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