米国公認会計士による、わかりやすい!会計・税金101

アメリカの生活ではつきものの、お金の話、会計や税金にまつわる基本情報や知っていると役に立つトピックスを選んでお届けします。

2023年12月 14日更新

第13回 : 日本の親から相続したら、IRS に報告を!

アメリカ非居住者から相続を受ける場合に知っておきたいこと

もし、あなたが日本に住む両親から財産を相続することになったら、アメリカのIRSに報告する義務があります。今回のコラムでは、日本だけでなく、アメリカ以外に住む居住者から財産を受け取る場合の情報開示についてご説明します。

例えば、日本に住むご両親など、アメリカ非居住者から財産を相続したり、贈与を受けたりする場合は、一つ一つの財産について、アメリカのIRS に報告をする必要があります。対象になる金額は、10 万ドル以上の場合です。ちなみに、外国法人またはパートナーシップからの相続・贈与の場合は、1万8567ドルを受け取った場合に「Form 3520」という書類で情報を開示します。

この開示義務は、ご家族だけではなく、その他の非居住者個人、法人、信託から贈与や支払いを受け取る場合にも生じます。情報開示なので納税は発生しませんが、開示義務を怠った場合の罰金が高額で、1 万ドル以上、または受け取った金額の35%ですので注意が必要なのです。

また、相続人または受贈者は、外国の資産を受け取りますので「FBAR (Form114)」 や「Form 8938 Statement of Specified Foreign Financial Assets (Foreign Account Tax Compliance Act 外国口座税務コンプライアンス法)」の対象になる場合があります。しかし、外国法人からサービスの対価として給料をもらう場合は、この書類の対象にはなりません。この書類の対象になるのは、何も対価を与えずに給料をもらう場合です。

なお、カナダのリタイアメントもこの書類の対象にはなりません。そして、アメリカの信託が外国の信託から分配金をもらう場合も対象にはなりません。

相続・贈与申告の締め切りは、通常のアメリカ確定申告と同じです。延長申請をした場合は、10月15日です。

受け取った人が亡くなった場合は、「Form706」と一緒に申告をする場合もあります。ただし、この書類は死亡時に米国市民または居住者であった故人の遺産に対して提出されるものであるため、死亡時に米国市民でも居住者でもなかった故人の場合は、「Form 706-NA」が使用されます。

また、贈与や相続が何年にもわたる場合は、毎年申告をしなければならず、内容に不備があると罰金1 万ドルまたは財産の 35%のどちらか高額な方を支払うことになります。ただし、遺産税申告における評価過小申告には20%または40%の罰金が課される場合もあります。申告書の間違いや遅延が発生してしまっても、故意のないこと、正直であることを証明すると、罰金を免除できる可能性があるので、必ず専門家に相談しましょう。

※上記は一般的な情報です。個々の状況によって内容が変わる場合があるため、専門家に相談してください。

2023年12月 14日更新

Columnist's Profile

会計士・CPA尾崎真由美(Todd's Accounting Services / 尾崎会計事務所)

ワシントン州会計士、法学修士、経営学修士、尾崎会計事務所代表、シアトル国際会計代表も兼務。長年にわたる経験と知識で個人のお客さまから法人のお客様まで、個々のニーズに合わせたサービスを提供してきた。個人向けタックスリターン、相続税、その他タックスプランニングはもちろん、法人向けサービスとして会社設立サポートやアウトソース、ブックキーピング、会計税務コンサルティング等、幅広いサービスを展開。親切、お客さまに満足していただけるサービスを提供する。

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