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アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

20年近くの経験を活かし、ビザ・グリーンカード申請に関する情報を事例をもとにQ&A形式でお答えします。

Actualizada en 2022/ 3/ 3

81 vez : Lビザ失効寸前!他のビザや永住権申請は可能なの?

Q

私は、約6年前にL-1ビザでアメリカの子会社に赴任してきました。日本では本社に約10年間勤めた後、マレーシアの子会社の社長になり、その後日本の会社の海外事業部で半年勤務してからアメリカ支社の副社長として赴任しました。本来ならばL-1が切れる今年中には、アメリカでの任期を終え本社に戻る予定でした。ところが、パンデミックのため、本社からの交代要員を赴任させることのが困難になり、本社から継続してアメリカに滞在するよう依頼され、そのために社内規定の例外として永住権の申請をしてもよいと言われています。 私は、将来的に日本あるいは他の国に赴任する可能性もありますが、妻も子どももアメリカでの長期滞在を希望しているので永住権を取得できればと考えているのですが、問題はL-1があとわずかで失効してしまうことです。何かよい方法はないでしょうか。

A

まず、あなたの場合は、L-1が失効するまでにEビザを取得する方法が考えられます。あなたの会社がE-1あるいはE-2の条件を満たしている場合は、アメリカに滞在しながらEステータスに切り替えることが可能です。これにより、日本に帰国せずにLビザの有効期限後もアメリカ国内において合法的に滞在・就労が可能になります。ただし、Eステータスのみの場合は、いったんアメリカ国外に出国すると、日本のアメリカ大使館・領事館において面接を受けビザの発行を受けなければならなくなります。また、Eステータスの有効期限が2年であるのに対して、Eビザの有効期限は(1部の例外を除いて)通常5年なので、あなたの場合、現在のLビザの有効期限内に日本に行くことが可能であれば(アメリカ国内でEステータスに切り替えるのではなく)その際に日本のアメリカ大使館・領事館でEビザを申請するのも得策かもしれません。

また、Eステータス・ビザを申請するのではなく、あなたが希望されているように永住権の申請を行う方法も考えられます。

もし、あなたが第一優先でのグリーンカード申請の条件を満たしているのであれば、まだ(Eステータス・ビザなどへの切り替えを行うことなく)間に合う可能性は充分にあります。通常、永住権を申請する場合には、まず労働局での審査過程を踏み、労働局からの認可(Labor Certification)を取得する必要があります。この方法では、移民局への申請ができるまで、今では12~20カ月を要しています(この間、アメリカでのLあるいはEのステータスを保持している必要があります)。この申請法は、雇用を通してグリーンカードを申請する場合の第2優先あるいは第3優先のカテゴリーに区分されます。ところが、あなたは日本の会社での勤務経験があるので、一定の条件を満たせば第一優先の「多国籍企業の重役等」のカテゴリーに含まれる可能性があり、この場合はこの労働局での審査を飛ばすことができます。従って、この第一優先で申請では、労働局での申請を飛ばし移民での申請から開始することになるため、申請を行うと当時にアメリカでの滞在資格を確保することができEステータス・ビザへの変更を行う必要がなくなります。

つまり、あなたの場合、以下の条件を満たしていることを証明すれば、第1優先における永住権の申請が可能です。

  1. 日本(海外)にある会社とアメリカにある会社が親子関係にあること。これには、アメリカにある会社の50%以上の株式を日本(海外)にある会社が直接的に所有している場合。また、アメリカの50%以上の株主が日本(海外)の会社の50%以上の株式を所有している場合も親子関係にあるとみなされます。あなたの場合は、L-1ビザを所持しているのでこの条件は満たしているはずです。
  2. アメリカの会社で、部長あるいは重役クラスなどの管理職に就いていること。移民局では、一般的に、これに関して申請者の下に部下がいるということだけでは充分でなく、申請者の下に部下を持つ役職の者がいることが要求されます。言い換えると、会社の組織図において申請者の下に2段以上のピラミッド型の管理体系があることが必要ということです。第一優先の申請を行うには、申請者の下に少なくとも合計で8~10人以上の部下がいた方がよいと言えます。
  3. LビザあるいはEビザでアメリカに入国する前の過去3年間のうち、少なくとも1年間以上、部長あるいは重役クラス等の管理職として日本(海外)にある親会社(子会社、系列会社でもよい)、またはその関連会社において勤務していたこと。
  4. アメリカでの役職が短期のものではなく永久的なものであることです。これにはアメリカでの会社が日本(海外)の親会社より永住者を送らなければならないほどの規模のものであるとみなされなければならず、それには相当額の売り上げと相当数の従業員の存在が要求されます。

これらの条件を満たしていれば、上述のように労働局を通すことなく、直接移民局に永住権の申請書を提出することができます。あなたの場合、上記の 2)、3) に関してですが、アメリカに来る直近の海外事業部においてあなたの部下が仮に10名いなかったとしても、条件は「アメリカに入国する前の過去3年間のうち、少なくとも1年間以上」なので、マレーシアで支社長をしていた時の役職を用いることもできます。

申請には、アメリカと日本(海外)にある会社の両方から、決算報告書、会社設立に関する書類など、会社が実際に存在し経営を行っていることを示す書類が必要となります。万一、(特にアメリカの)会社の経営状態が芳しくなく(流動資産も乏しく)、従業員が少ない会社などは、上記の条件を満たしている場合でも移民局から永住権の認可を受けることは困難です。申請時期に関しては、アメリカにある会社が設立されて1年以上経過していれば申請が可能で、申請者自身がアメリカで働いている必要もありません。また、永住権は配偶者および21歳未満(永住権取得時期において)の子ども同時に取得することができます。

移民局への申請に関しては、I-140の申請書およびI-485の申請書を同時に移民局に提出します。その後、就労許可が下りますが、一時渡航許可も下りるので就労を継続できるだけでなく海外への出入りも可能になります。

万一、あなたが上記の第1優先での申請の為の条件を満たさない場合は、Eステータス・ビザに切り替えた後、第2優先あるいは第3優先でグリーンカードを申請する方法を考慮することになります。

筆者からのコメント : このコラムは2022年1月31日時点での情報を基に執筆したものです。この後、内容が変わる可能性があります。ご了承ください。

Actualizada en 2022/ 3/ 3

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Columnist's Profile

CEO/Attorney瀧 恵之(瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation)

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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