コラム

いまなぜモンテッソーリ教育なのか?

2019年10月 16日更新

第30回 : 「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.1 「“魔の2歳児”が納得する効果的な叱り方とは?」

ロサンゼルス近郊にあるモンテッソーリ国際学園の設立者で、日系コミュニティーにモンテッソーリ教育を紹介した教育者としても知られる炭川純代さん。このコラムでは、早期幼児教育や子どもの発達などに関するご質問に回答いただきます。

モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生
Q

2歳の子どもをどう叱ってよいかわかりません。特にアメリカでは、公共の場で大声で叱ったり手を上げたりすると虐待と思われることがあると聞きます。良い方法はありますか?

モンテッソーリ国際学園ディレクター 炭川純代さん

A

“魔の2歳児”(アメリカでは”Terrible Twos“)と呼ばれる2歳児は、親のいうことをなかなか聞いてくれません。子どもの「イヤイヤ」に対し、ダメ!とただ叱りつければよいのか、それとも機嫌をとって優しくすればよいのかと、悩んでいる親御さんは多いことでしょう。ご質問のように、特にアメリカでは、叱り方によってはあらぬ疑いをかけられ、児童虐待などの大問題に発展する可能性もあります。

子どもは年齢とともに発達していくため、叱り方はそれによって変わります。つまり、まず子どもの発達についてきちんと知識を得て、さらに個々の発達状況によって対応を変える必要があるのです。

一般的に、2歳ごろになると、子どもには自立の意思が芽生えてくるようになります。「とにかく自分でやってみたい!」。この時期の子どもは、大人に言葉でうまく伝えることができません。しかしその分、全身で伝えてきます。だから親御さんが必要以上に手伝ったり、自分でやる機会を奪われたりすると、泣いたりわめいたりして反抗するのです。「私がやりたい!」「僕がやるから手を出さないで!」と思っているわけですね。説明できない2歳児の心の声を、どう受け取って理解し、補助してあげるかがポイントになるのです。

問題発生!スーパーマーケットで買い物中に、子どもがぐずりはじめた!

最初は優しくなだめすかしていたものの、次第にエスカレートし、ついに泣き始めたお子さんに周囲の注目も集まり、あなたも焦ってきます。この場をなんとかやり過ごしたいと、やみくもに怒鳴ったり叱ったりしても、ますますお子さんは大声で泣き叫び、事態は悪化するばかりです。

お子さんがぐずった理由には、疲れている、眠たいなどいろいろな理由があると思います。まだ2歳ですから当然でしょう。しかし、ここで問題になっているのは、自宅ではなくスーパーマーケットの中であるということ。つまり、まずお子さんには公共の場で他人に迷惑をかけていることを、理解させる必要があります。そのためには“体験”をもって納得してもらうことが最も効果的です。

叱り方

×「なんで泣くの!静かにしなさい!」

「大切なお話があるから聞いてくれる?」

「ここ(スーパーマーケット)は、ほかの人が買い物をしたりする場所。泣いたり騒いだりすると、お店の人やお客さんに迷惑がかかるからお店を出ましょう」。泣き止まないお子さんを連れて、店外に出たあなたは、ショッピングカートを置いて車に戻ります。そこでようやくお子さんはハッとするのです。ここで立ち止まって考えさせる時間を与えることがとても重要です。例え言葉を話せなくても、2歳になると、相手の言っていることを理解することができます。ただそれを理解するためのプロセスに時間がかかるのです。

なぜ家に帰らなければならないのか、ここでお子さんに考えさせるのです。すぐに答えられなくても焦らずに待ちましょう。「泣いたから」と答えたら、なぜ泣いてはいけないのかと聞き、さらに考えさせます。つまり、少しずつ段階を踏みながら、最終的にスーパーマーケットでは大声で泣き叫んではいけないことを理解させるのです。

もし、状況が許せば、スーパーマーケットの店員に協力してもらい、公共の場で大声で泣くことが迷惑であるということをお子さんに伝えてもらいます。例えば「うるさい子どもや泣きわめく子どもは、お店の中ではほかのお客さんに迷惑になってしまうから、家に帰ってもらわなきゃいけないね」といった具合です。親御さんだけでなく、第3者から伝えてもらうことで、子どもは理解・納得できるのです。

ポイント 「叱るよりも子どもを納得させる」ことが最も効果的

上記の方法が、すべての2歳児に効果を発揮するというわけではありません。やはり、日ごろから親御さんが、一貫してお子さんを“体験を通して納得させる”必要があるのです。日々、さまざまな問題が起こった時、その都度納得できるように伝えていれば、場所や状況が変わっても理解できるようになります。「ダメ」と言って一回で言うことを聞けるようになるには、前段階があるということです。毎回「ダメ」と言うだけでは全く意味がありません。これは「お化けがくるよ」といった脅しの言葉でも同様で、子どもは言うことを聞きません。

2歳児の認知力、理解力は大人が思うよりも高いのです。ただ認知し理解し、納得するのに時間がかかるだけなのです。子どもが問題行動を起こしたときは、まず「大切なお話があるから聞いてくれる?」と伝えましょう。問題行動に対して感情的に反応するのではなく、理性をもってきちんと対応することが何よりも大切なのです。

2019年10月 16日更新

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Columnist's Profile

ディレクター
Sumiyo Sumikawaモンテッソーリ国際学園

公益財団日本モンテッソーリ綜合研究所研究員。モンテッソーリ国際資格取得コース (AMS認定) ディレクター。日本にてモンテッソーリ教師の資格を取得。幼稚園教諭として幼稚園に5年間勤務。その後、更にモンテッソーリを学ぶために渡米。American Montessori Society (AMS) 認定の幼児及び小学部の資格を取得し、Casa Montessori School にて3-6歳児のクラス担任として7年間勤務。2003年 University of California Los Angeles、で心理学学士号取得。行動療法士として自閉症児の支援をし、その活動の一環として、自閉症やその他の障害をもつ子どもたちにミュージカル“Cats”を指導。障害児とその兄弟姉妹たちで結成した“Miraclecats”のディレクターを務める。2009年College of St. Catherineにて教育学の修士号取得。現在は、サンタアナ市に英語と日本語のバイリンガル教育の幼稚園、モンテッソーリ国際学園主宰。

モンテッソーリ国際学園

2717 S. Halladay Street Santa Ana, CA 92705

“モンテッソーリ国際学園”について詳しくはこちら。

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