专栏

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

2020年 6月 9日更新

第60次 : コロナ終息まで待つべき?グリーンカード申請とスポンサーについて

Q

現在、私は日本で暮らしていますが、アメリカ留学中に知り合った彼と結婚する予定です。それに伴って、グリーンカードの申請の手続きをしたいと思っているのですが、日本で手続きを行うにはアメリカ大使館が閉まっているし、アメリカで手続きを行うとしても、アメリカの移民局も業務を停止していると聞きました。今回のコロナパンデミックが終息するまで待った方が良いのでしょうか?できるならば、早く彼と一緒に暮らすことを希望しています。また、私のフィアンセはコロナパンデミックのため、一時的に仕事を失い、現在収入はありません。グリーンカードのスポンサーになるには、ある程度の収入が必要であると聞きました。どうすればいいのでしょうか?

A

米国市民との結婚によりグリーンカードを取得する際には、日本で手続きを行う方法と米国で手続きを行う方法があります。新型コロナウイルス禍において、もし日本で手続きを行う場合、現在確かにアメリカ大使館は、緊急の場合を除いて面接を行っていませんが、あなたの場合は、面接は手続きの最後(今からおよそ1年~1年半後)に行われるため、申請を今から開始しておくことができます。また、アメリカで手続きを行う場合も、アメリカの移民局は、申請者が移民局に直接赴かなければならない面接などのサービスを停止していただけであって、書類上の手続きは継続して行っているため、あなたの場合は、この状況下であっても、今から申請を開始することが可能です。なお、面接や指紋採集等の申請者が実際に移民局に赴いて行う手続きは、6月4日から徐々に再開されることになっています。

以下で、日本とアメリカで手続きを行う方法をそれぞれ詳しくご説明します。

日本で手続きを行う場合

最初に、米国市民である配偶者が、アメリカの移民局にI-130 という書類を提出します。この手続きは、現在5~7カ月を要しています。この手続きは今でも処理されています。このI-130の申請が認可された後は、ケース(ファイル)が、National Visa Center に移され、ここで申請者(あなた)の資料を提出することになります。その後、ケース(ファイル)が日本のアメリカ大使館に移され、面接となります。従って、上述したように、あなたの場合は、今から手続きを開始したとしても、面接は、約1年~1年半後になりますので、その時までにアメリカ大使館が面接を行える状態になっていれば良いことになります。また、この米国大使館でのインタビューは、日本人である配偶者(あなた)のみで行うことができます。インタビューをパスした後は、パスポートに半年間有効のビザが付きます。そして、米国入国の際に空港で、今度は1年間有効のスタンプを付いてもらい、この時点で法的にグリーンカード保持者となり、グリーンカードはその後1~2カ月程度で郵送されます。

アメリカで手続きを行う場合

アメリカでグリーンカードを申請する場合は、上述したように、申請を行うことは可能ですが、移民局に直接赴く(In Perosn の)サービスが停止されていたため、再開後も人数制限など、新型コロナウイルス対策を行うとされているため、大幅に遅れる可能性があります。従って、申請を開始することはできますが、その後、指紋採取や面接をすぐには受けられない可能性があります。なお、指紋採取は、最近では、コロナパンデミックに伴い、過去に指紋採取を行っていた場合には、その記録を用いることによって免除されている場合もあります。また、上述したように、6月4日から指紋採取や面接も徐々に行うとされています。いずれにしても、一旦申請書を移民局に提出すれば、その時点でアメリカに合法的に滞在することができるようになるので、あなたの場合、仮に指紋採取や面接が大幅に遅れてしまっても、それまでの間、フィアンセと一緒に生活することができるようになります。また、申請から約3~6カ月程度で、就労許可および一時渡航許可を取得することができ、これによって、インタビューまでの間でも、就労および海外への出入国もできるようになります。

米国市民の配偶者の収入について

あなたの場合、フィアンセ以外に「Affidavit of Support」にサインしてくれる連帯保証人(Joint Sponsor)を見つけることにより申請が可能です。「Affidavit of Support」は、I-864と呼ばれ、これは、アメリカに移住してくる外国人が、アメリカの公共の福祉に頼らなくても生活ができるように、グリーンカードを申請するスポンサーがその生活を保証できるということを証明する書類です。あなたのように家族申請をする場合は、このI-864という書類を提出する必要があります。この連帯保証人になるには、申請者と血縁関係にある必要はなく、アメリカ市民あるいはグリーンカード保持者であれば良いことになっています。

年間の収入条件についてですが、スポンサーになる人の収入は国が定めている貧困レベルの125%以上であれば良いとされています(アメリカ軍人として働いている人は100%)。現在カリフォルニア州の貧困レベルの125%の額は、連帯保証人が独身で同居している子供もいない場合は、年収(Gross Income)は27,150ドルで、扶養家族などが1人増えるにつき、5,600ドルずつ増えていきます。例えばスポンサーが夫婦で扶養している子供が1人いたとすると、その金額は年収で38,350ドルとなります。ちなみに、この条件を満たすためには(仮に連帯保証人をつけなくとも)所有している資産を用いることもできます。この場合は、上記の金額より不足している額の5倍の資産があれば良いとされています。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

2020年 6月 9日更新

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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