- Back Issues
-
- Vol.1 : モンテッソーリー教育との出会い
- Vol.2 : 「ダメ」 と言っていることは本当に「ダメ」?「ダメ」と言う前に知っておきたいこと
- Vol.3 : 家庭でできるモンテッソーリ教育
- Vol.4 : 教師の心得
- Vol.5 : 環境
- Vol.6 : モンテッソーリと障がい児教育について
- Vol.7 : モンテッソーリの日常生活の練習とは?
- Vol.8 : モンテッソーリの感覚教育とは?
- Vol.9 : モンテッソーリの言語教育とは?
- Vol.10 : モンテッソーリの算数教育
- Vol.11 : モンテッソーリの文化教育
- Vol.12 : モンテッソーリ教師への道
- Vol.13 : モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.1~
- Vol.14 : モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.2~
- Vol.15 : モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.3~
- Vol.16 : モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.4~
- Vol.17 : モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.5~
- Vol.18 : もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スペシャルインタビュー 前編
- Vol.19 : もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スペシャルインタビュー 後編
- Vol.20 : もっと知りたい!モンテッソーリ教育 日本モンテッソーリ教育綜合研究所 実践研修室レポート
- Vol.21 : もっと知りたい!モンテッソーリ教育 スクールエイジ・プログラムスタート!
- Vol.22 : スぺシャルリポート 「スクールエイジ・プログラム 日本語学科・芸術学科」 オープンハウス開催
- Vol.23 : モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介
- Vol.24 : モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介2
- Vol.25 : モンテッソーリ教育「スクールエイジ・プログラム」コース紹介3
- Vol.26 : モンテッソーリ教師への道 ~現役教師インタビュー Vol.6~
- Vol.27 : もっと知りたい!モンテッソーリ教育 「モンテッソーリ育成教師育成集中トレーニングコース」レポート
- Vol.28 : もっと知りたい!モンテッソーリ教育 日本文化教育 ~扉の向こうは日本。アメリカで自分のルーツを学ぶ~
- Vol.29 : 日英バイリンガルを育てる「イマージョン・プログラム」
- Vol.30 : 「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.1 「“魔の2歳児”が納得する効果的な叱り方とは?」
- Vol.31 : MIA@HOME ~2歳から小3を対象としたオンライン授業開始!~
- Vol.32 : 祝・開村 ママのためのイベントネットワーク「MIA Village」① “一緒にハッピーなお母さんになりましょう!”
- Vol.33 : ママのためのイベントネットワーク「MIA Village」② “ママが輝くプロジェクトが続々スタート!”
- Vol.34 : MIA Village対談 オコーマ・素子さん(看護師・助産師・国際認定ラクテーションコンサルタント)
- Vol.35 : もっと知りたい!モンテッソーリ国際学園 キンダーガーテン「5~6歳クラス」Q&A
- Vol.36 : もっと知りたい!モンテッソーリ国際学園 小学部Q&A
- Vol.37 : MIA Village対談:Miwako Cichonさん(ボランティア団体Nova Vita Foundation代表)
- Vol.38 : 新しい年度を前に ~ダイナミックでクリエイティブな時代を生きる子どもたちによりふさわしいプログラムを~
- Vol.39 : しつけで悩んでいる方必読!子どもの自律を促す「ポジティブ・ディシプリン」のススメ
- Vol.40 : 「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.2「2歳の子どもの大泣きが止まらない!」
- Vol.41 : 「幼児教育者必読!」 モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.1「子どもが集団で話を聞けるようになるには」
- Vol.42 : 「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.3「幼稚園児の成長を促す!長い休みのベストな過ごし方は?」
- Vol.43 : 「子育て中の親御さん必読!」モンテッソーリQ&A 教えて!炭川先生 Vol.4「幼稚園で床掃除?『日常生活の練習』ってなぜ必要なの?」~前編~
去る8月2日~9日に、東京・五反田で、日本モンテッソーリ教育綜合研究所開催の実践研修室が開催されました。今回は、実践教室に講師として参加された炭川純代さんのスペシャルレポートをお届けします。
モンテッソーリ国際学園ディレクター
炭川純代さん
普段は、ロサンゼルスのモンテッソーリ国際学園で幼児教育に携わっていますが、年に一度だけ、日本で大人を対象に教鞭を執る機会があります。それは、日本モンテッソーリ教育綜合研究所開催の実践研修室と呼ばれるクラスで、30年以上も前に設立された「モンテッソーリ教育教師養成通信教育講座」で学ぶ方のために行なわれているスクーリングです。通信教育のカリキュラムは2年間(最長4年間まで在籍可)で、レポート科目履修と、毎年8月の初旬に8日間におよぶスクーリング科目履修があります。
私は、2011年から、実践講師/公益財団認定研究員を務めており、今年は通信教育講座2年生対象の「算数」「言語」クラスを担当しました。参加者は、現役のモンテッソーリ教師だけではありません。全国から集まってくる約200名のなかには、進学塾などを経営する企業の研修の一環として参加される方や、資格取得を目指す保護者や一般の方も多くいらっしゃいます。資格取得の目的も、引退後に幼児教室を開きたい、デイケアや幼稚園関係者でモンテッソーリ教育を取り入れたいなど、実にさまざま。特に近年は、保護者の教育に対する意識がとても高くなっているのを感じており、モンテッソーリ教育を通して、子どもの行動を理解し、個性を伸ばしながら、自立を促していく。つまり子どもの導き方、そして子育てのヒントを得るために、積極的に勉強されているお母さまが多いという印象を受けました。
現役の教師で、たとえモンテッソーリ教育について興味があっても、本質を体得するのは簡単なことではありません。ときには理論や体系、方式、制度ばかりが先行してしまうこともあるんです。事実、私もこの研修を通して、日本でのモンテッソーリ教育に対する偏見や思い込みを、多く感じることがあります。例えば、モンテッソーリの教具の使い方一つ取っても、堅苦しく作法ばかりを気にしてしまう。本来、学びとはとても楽しいものであるはずなのに、大切なポイントを取り違えてしまうんですね。教具の使い方にはちゃんと意味があり、それを教える側が分かっていなければ、何の意味もありません。教育には、物事をただ受け入れるだけでなく、多方面から検討して理解する「クリティカルシンキング」の力が必要なのです。子どもたちを正しく導く教師を育てるために、わずか8日間の研修で、どれだけモンテッソーリ教育の“核”を伝えられるかが、この研修の要とも言えます。
今年参加されたある男性は、すでにリタイアされていましたが、これから第2の人生として幼児教育の道に進みたいとおっしゃっていました。モンテッソーリ教育では、すべての教科において「対にする(ペアリング)」「順序づける(グレーディング)」「分類する(ソーティング)」という“操作”を学びます。これは子どもの知性を高めるものなのですが、その男性いわく、これらの概念は社会人が最も身に付けていなければならないことだそうです。小さい頃から、論理的な思考をきちんと養うために、この3つの概念を取り入れたモンテッソーリ教育に、改めて感嘆されていました。
毎年日本で教壇に立つたびに、私自身も新たな学びを得て、日本でモンテッソーリ教育が浸透しているのを肌で感じることができて嬉しく思っています。日本には、この実践研修室参加を含め、年に4回ほど帰国し、会議に出席したり資格試験官を務めています。その根底には、モンテッソーリ教育の普及と教師育成という大きなビジョンがあります。実は私も、この通信教育講座で資格を取得した経験があり、縁あって今はロサンゼルスを拠点にモンテッソーリ教育を行っていますが、今後もアメリカの最新教育情報の提供など、一人でも多く教育の現場で子どもたちを導く教師の育成に力を注いでいきたいと考えています。
-
日本モンテッソーリ教育綜合研究所
公益財団法人「才能開発教育研究財団」所属
本部:東京都大田区
設立:1977年
http://sainou.or.jp/montessori
世界130か国以上で実施されているモンテッソーリ教育の普及活動をするとともに、子ども達の健全な育成を目的に「モンテッソーリ教師養成のための通信教育講座の開講」「実践研究の場としての附属『子どもの家』の運営」「初心者・一般の方向けのモンテッソーリ教育入門講座『実践研修室』の開催」「モンテッソーリ教育の海外視察旅行の企画」「マリア・モンテッソーリの著書(翻訳本)の発行・関連図書の販売」事業を行っている。
1976年の「モンテッソーリ教育
教師養成通信教育講座」設立とほぼ同時期より、モンテッソーリ教育の基になっている考え方と教具の使い方を伝えるために「実践研修室」を開催。「入門講座3歳~6歳コース」「入門講座0歳~3歳コース」「専門講座」などがある。