米国公認会計士による、わかりやすい!会計・税金101

アメリカの生活ではつきものの、お金の話、会計や税金にまつわる基本情報や知っていると役に立つトピックスを選んでお届けします。

2024年 1月 22日更新

第14回 : 2023年度のタックスリターンについて

Q
2023年度の申告期日はいつですか?
A

2024年4月15日(月)に締め切り予定です。

Q
申請に必要なものは何ですか?
A

申請者は必ずソーシャル・セキュリティー・ナンバー(SSN)を保有している必要があります。新たにアメリカにやって来た場合は、社会保障事務局に申請し取得します。通常、就労ビザの配偶者・扶養者など、SSNがない人は、ITIN(Individual Taxpayer Identification Number)と呼ばれる個人用納税者識別番号を申請します。納税義務がある限り、タックスリターンは過去にさかのぼって申請可能です。こういった事情がある場合、対応がそれぞれケース・バイ・ケースになるので、会計士に別途相談することをお勧めします。そして、もう一つ勤務先から送付される「W2フォーム」が申請に必要です。これは1年間の収入と源泉徴収について記した書類です。万一紛失した場合は、再発行を申請してください。

Q
控除(Deduction)について教えてください。
A

タックスリターンの際に経費などを申告して収入から差し引き、税額を抑えることを指します。固定資産税や住宅ローンの利息分に始まり、非営利団体やチャリティーへの寄付など、一般的な「経費」のイメージにはない項目も控除の対象になります。これと別に項目別控除(Itemized Deduction)もあります。医療費や経費を個別に申請する方式で、もし基礎控除よりも合計金額が多くなったら、この項目別控除を使って申請すると得する可能性があります。家を持っている、申請する州の税金が高いといった人は、この項目別控除を選ぶことが多いです。

Q
クレジット(Credit)は、控除とは何が違うのでしょうか?
A

控除とは、収入額から控除額を差し引き、課税対象額を減らすことを指します。例としては、基礎控除や項目別控除が当てはまります。その課税対象額より、税金が算出されます。クレジットはその税金そのものを減らすことができます。例としては、「Child Tax Credit」や「Child and Dependent Care Tax Credit」などが当てはまります。2023年度の「Child Tax Credit」は、17 歳(12/31/2023 時点)でソーシャルセキュリティーナンバーを保持している被扶養者を対象とし、Credit の上限額は2000ドルです。

Q
2023年税制改正による基礎控除の変更点は?
A

2023年度の夫婦合算申告の基礎控除額は、前年度より1800ドル増の2万7700ドルになります。独身者と夫婦別姓の場合、2023年の基礎控除額は前年度より900ドル増額され1万3850ドルとなります。世帯主の場合、1400ドル増の2万800ドルとなります。

限界税率について: 所得が57万8125ドル(夫婦合算申告の場合は69万3750ドル)を超える独身納税者の場合、2023年の最高税率は37%に据え置かれます。

その他の税率は以下の通りです。

  • 23万1250ドル(夫婦合算申告の場合は46万2500ドル)を超える所得に対しては35%。
  • 18万2100ドル(夫婦合算申告の場合は36万4200ドル)以上の所得に対して32%。
  • 9万5375ドル(夫婦合算申告の場合は19万750ドル)以上の所得の場合、24%。
  • 4万4725ドル(夫婦合算申告の場合は8万9450ドル)以上の所得の場合、22%。
  • 1万1000ドル(夫婦合算申告の場合は2万2000ドル)以上の所得は12%。
  • 所得が1万1000ドル以下の独身者の場合、最低税率は10%(夫婦合算申告の場合は2万2000ドル)です。
Q
アメリカ国外にいる場合はどうすればよいですか?
A

申告はどこにいても義務付けられています。オンラインや郵送でも申告は可能です。また、基本的にはどの会計事務所も海外からの相談に対応してくれると思います。今年中に日本に永久帰国したり、別の州に転居したりした場合は、別途申請が必要です。

Q
締め切りを過ぎてしまった場合は?
A

IRSよりペナルティーが課せられる場合があります。また、遅延期間分だけ納税額に対して、利子が算出され増税されることがあるので、締め切りに間に合わない場合や、締め切りを過ぎてしまったら早めに会計士に相談しましょう。

注: 本記事は一般的な情報をまとめたものです。詳細は専門家にご相談することをお勧めします。

2024年 1月 22日更新

Columnist's Profile

会計士・CPA尾崎真由美(Todd's Accounting Services / 尾崎会計事務所)

ワシントン州会計士、法学修士、経営学修士、尾崎会計事務所代表、シアトル国際会計代表も兼務。長年にわたる経験と知識で個人のお客さまから法人のお客様まで、個々のニーズに合わせたサービスを提供してきた。個人向けタックスリターン、相続税、その他タックスプランニングはもちろん、法人向けサービスとして会社設立サポートやアウトソース、ブックキーピング、会計税務コンサルティング等、幅広いサービスを展開。親切、お客さまに満足していただけるサービスを提供する。

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