专栏

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

2022年 6月 8日更新

第84次 : グリーンカード申請中に退社。申請を続行することは可能?

Q

5年前にL-1ビザで現在の米系会社に赴任しました。現在、雇用主を通しグリーンカードを申請中で、2021年12月にI-485を提出し、先々月に指紋採取をしました。今は就労許可を待っているところですが、パンデミックの影響もあり、あと数週間で会社を辞めなければなりません。もし、退社をするタイミングで就労許可が届かなかった場合、グリーンカード申請自体が白紙に戻ってしまうのでしょうか?このような状況ですが、就労許可がなくてもどうにかグリーンカードの申請を続ける方法があれば教えて下さい。

A

あなたの場合は、就労許可の発行がいつされるのかが重要なのではなく、「I-140」の申請が認可されているかどうかが重要な点になります。以下、順を追って説明します。 

あなたの場合は、L-1ビザをお持ちなので、グリーンカード申請は、第`1優先、あるいは第2、3優先のカテゴリーでグリーンカードを申請していると思います。

第1優先での申請では、以下が条件となります。

  1. 日本(海外)にある会社と米国にある会社が親子関係にあること。これには、米国にある会社の50%以上の株式を日本(海外)にある会社が直接的に所有している場合。また、米国の会社の50%以上の株式を所有する株主が日本(海外)の会社の50%以上の株式を所有している場合も親子関係にあるとみなされます。あるいは、日本(海外)にある会社の50%以上の株式を米国にある会社が直接的に所有している場合(恐らく、本件)も可能です。
  2. 駐在員として、米国の会社で部長あるいは重役クラスなどの管理職に就いていること。移民局では、一般的に、これに関して申請者の下に部下がいるということだけでは充分でなく、申請者の下に部下を持つ役職の者が居ることが要求されます。言い換えると申請者を頂点として2段のピラミッド型の管理体系があることが必要ということです。
  3. 駐在員として、LビザあるいはEビザで米国に入国する前の過去3年間のうち、少なくとも1年間以上、部長あるいは重役クラスなどの管理職として日本(海外)にある親会社(子会社、系列会社でもよい)において勤務していたこと。

L-1ビザを持っている人は、L-1ビザ取得の条件が上記の条件とほぼ等しいため、ほとんどの場合がこの第1優先のカテゴリーの条件を満たすことになります。しかしながら、パンデミックの影響で部下となる従業員が著しく減っているなどの理由で、この条件を満たすことがきていない場合は、第2、3優先で申請することになります。この第2、3優先のカテゴリーでは、上記の条件が全て免除されます、もちろん第2、3優先においての条件はありますが、第1優先での申請が、移民局での申請(I-140とI-485)から始められるのに対して、第2、3優先では、労働局での申請から始めることになります。労働局より、労働認可証(Labor Certification)が発行された後、移民局での申請(I-140とI-485)を行うことになります。

上記の第1、第2、第3優先のいずれにおいても、I-140 が認可されていて、さらにI-485 を申請して180日以上が経過していれば、グリーンカードの申請においての雇用主を変更することができます。この雇用主の変更は、新しい会社において、同等あるいは類似の役職であれば可能で、これにより今までのグリーンカードの手続きを無駄にすることなく、継続することができるようになります。あなたの場合は、I-485の申請を行なってからすでに180日を経過しているので、あと問題となるのは、I-140 が認可されているかどうかということのみになります。I-140 が認可されていなければ、第2、3優先の場合は、Premium Processing (2,500ドルを移民局に余分に支払うことによって審査期間を15日間に縮める方法)を用いることにより、早く認可を確保することが考えられます。この Premium Processing は、必ずしも、I-140 の申請の際に行う必要はなく、審査の途中からでも切り替えることができるとされています。

この雇用主の変更は、移民局に通知を行うだけで可能で、グリーンカードの面接の際に、新しい会社からのオファーがあることの証明(I-485 Suppliment J)や、新しい会社が定められた給料を支払える経済的能力がある証明として、Tax Returnなどを提出することになります。

従って、あなたの場合は、早期にで新しい雇用主を見つけ、雇用主の変更の手続きを行うことによってグリーンカードの申請を継続できるようにすることが重要であると言えます。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

2022年 6月 8日更新

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

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