专栏

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

2021年 4月 5日更新

第70次 : 申請から半年。OPTのカードがまだ届かない!どうすればよいの?

Q

昨年、アメリカの大学を卒業し、11月にOPTの申請を行ったのですが、いまだカードが届いていません。すでに仕事先は決まっているものの、就労を開始できない状態です。仮に、OPTが今すぐに届いたとしても、1年間の有効期限があるため、実際にはあと半年ほどしか就労することができません。もし、もっと遅れれば就労期間はさらに短くなり、コロナ禍でOPTのためにアメリカに滞在していた意味がなくなってしまいます。何か良い方法はないですか?

A

プラクティカル・トレーニング(PT)には、厳密に言えば、以下の3つの種類があります。

  1. Curricular Practical Training
  2. Optional Practical Training (Pre-Completion)
  3. Optional Practical Training (Post-Completion)

このうち、最もよく使われているのは、Optional Practical Training (Post-Completion) で、これは、フルタイムの学生として1年以上学校に通い続けたことを前提として、コース終了後、フルタイムで1年間就労することができるものです。職種の選択にあたっては、学生の専攻する学術領域に限られ、学校(Designated School Officia1)の許可および移民局の許可を必要とします。Curricular Practical TrainingとOptional Practical Training(Pre-Completion)は、プログラム終了前に用いられるものです。従って、あなたのOPTは、厳密にはOptional Practical Training(Post-Completion)に該当します。このコラムでは、このOptional Practical Training(Post-Completion) を以下、「OPT」と呼んで解説します。

あなたの言う通り、OPTは卒業(あるいはプログラムの終了)した時点から14カ月目以降は、原則的に就労できないことになっています。例えば、OPTは、卒業した時点から数えて、就労開始日は最も遅くても60日目にしなければならず、この60日目の時点で就労を開始した場合は、丁度、1年で上述の規定の14カ月目になります。つまり、この時点で就労を終わらなければいけない計算になります。従って、移民局のOPTの審査・発行の処理に時間がかかればかかるほど、OPTで就労できる期間が1年よりも短くなってしまう可能性は充分にあります。特にコロナ禍では、OPTがこのように遅れて発行されている、あるいはいまだに発行されていないというケースが多発していました。

そこで、移民局は、コロナパンデミックによって、このOPTの処理に大幅な遅滞が生じていることを理由として、2021年2月26日、以下の特別処置を発表しました。これは、2020年10月1日~2021年5月1日に受付を行った申請者に限り、上記の14か月間の期間を超えた場合でもOPTでの就労期間が1年になるように移民局が対応するというものです。本発表のあった2021年2月26日以降、移民局は、申請書上の就労開始時期に関係なく、認可した日から1年間のOPTを発行し、またすでに上記の規定によって1年未満のOPTを受け取った申請者には、その期間を訂正(延長)の申請を行う機会が与えられることになりました。ただし、最初の申請書において、1年間の就労期間を申請していることが条件になります。また、1年未満の就労を申請している場合は、最初にリクエストした期間までの延長が認められます。この期間の訂正(延長)の申請を行う際は、新たにI-20を取得する必要はなく、訂正(延長)の申請を行うことができます。この場合、移民局から期間が訂正(延長)されたOPTのカードが移民局から送られてくることになります。

さらに、いったん申請を行ったものの、その申請が却下になり、再申請するにも申請期間(プログラム終了から60日間)が過ぎてしまっている場合においても期間訂正(延長)があります。これにより、移民局が却下の判断する際、コロナパンデミックのため、通常よりも長い期間をかけて却下している事実を踏まえて、上記の期間を過ぎている場合でも、2021年5月30日までは再申請を受け付けるとしました。ただし、最初の申請において、DOS(Designated School Official:学校の中で移民局からI-20にサインをする権限が与えられている担当者)が推薦書にサインしてから30日以内に申請を行っていることが条件とされています。

従って、あなたの場合は、OPTの就労期間が1年のカードが送られてくる可能性が高く、また、仮に1年未満であっても、期間訂正(延長)の申請ができることになります。また、上記の特別処置はSTEM OPT(定められた専攻で大学等を卒業している場合、就労期間が1年以上継続する)の場合にも適用されるとしています。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

2021年 4月 5日更新

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

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