专栏

アメリカ移民法・ビザ申請の基礎

2016年 3月 1日更新

第9次 : 投資家ビザ申請における知的財産に関して

Q

現在私は、日本で医薬品の研究・開発を行なっており、諸々の新しい薬品の特許を日本およびアメリかで取得しました。これを商品化し市場に出すのは、需要の高いアメリカでと考えています。しかしながら、実際にアメリカで仕事をするにあたってのビザが心配です。投資家ビザの話も聞きましたが、日本で私だけではなく、日本からの技術者をも含めてビザを取得するには、高額な投資額が必要であると聞きました。人材を早い間にアメリカに送りたいのですが、特に費用に関しては、初期段階において多額の費用を使うには限度があります。何か良い申請方法はないでしょうか。

A

まず投資でビザを取得する場合、投資額として換算されるのは、金銭だけでなく特許などの知的所有権も加算できるとされています。従って、あなたの所有している特許権の価値により、E-2 ビザを取得できる可能性は十分あると考えられます。

E-2 ビザは、米国と通商条約を結んでいる国(日本はこの中に含まれています)の国籍を持つ人または会社が会社設立のためにアメリカに投資を行う、またはアメリカの現存する会社に投資を行う場合、管理職として業務を執り行うその投資家あるいは従業員に与えられるビザです。この場合、投資家はアメリカの事業に対し「実質的な額」の資本を投資したあるいは積極的な投資過程にあることが必要であるとされています。

この「実質的な額」の説明としては、以下が挙げられています。

  1. 当該事業の総経費に関連して実質的であること。
  2. 投資家が事業に対し経済的に現実参加を行っている(経済的なリスクを負っている)ことが充分に考えられる。
  3. 事業の運営を成功させるのに充分であること。

あなたの質問との関連では、上記の「実質的な額」の資本投資金、現金以外に何が認められるのかが問題となりますが、DOS(Department of State Visa Office)の発行するFAM(Foreign Affairs Manual)においては、以下のように記載されています。

「設備の購入のため、あるいは手持ちの在庫品獲得のための費用は、投資総額に加算される。アメリカに移転された品物、設備(例:アメリカでの工場の開始・拡張のための機器)の価値は、申請者がその品物・設備を当該事業に用いる、あるいは用いている過程であることを前提として、投資として考える。申請者は、購入された品物・設備が、個人使用のためのものでなく、事業のためのものであることを立証する必要がある」。

この趣旨に基づき、DOS は1994年に知的財産権が、E-2ビザを取得する目的としての資本金(すなわち投資額)として考慮されることを認めています。またこの知的所有権には、コンピューターソフトウエア等も含まれるとされています。 

ここでさらに問題となるのは、特許等の知的財産権がE-2ビザ申請の際の投資額として、具体的にいくらに換算されるのかということです。知的財産権は、品物・設備を購入した場合と違い、レシート等を提出することができません。従って移民局も、実際には価値の無いものを偽って高く評価することによってE-2ビザを取得されることを避けるため、懐疑的に考慮する場合が多いとされています。

そこで評価の方法としては、以下が用いられています。

  1. 当該知的財産権を発明・開発するために用いられた費用。
  2. 当該知的財産権を用いた商品がすでに市場に出されている場合、その販売によって得られた利益。
  3. 当該知的財産権の市場価値そのもの。

ただしこのような考慮方法によっても、正確な価値が得られない場合があるため、その分野の著名な専門家に公式評価をしてもらい、その報告書(専門家の履歴書等を含めたもの)を移民局に提出することが得策であるとされています。

ですからあなたの場合、まずあなたの発明・開発した新製品の価値評価を行うことが先決です。そして、新商品の特許を米国に設立した会社に譲渡し、その価値額に見合う株券を発行することで、その額がE-2ビザ申請における投資額として換算されます。

注意事項 : コラム内で提供しているビザ・移民法に関する情報は一般的な情報であり、個人の状況や背景により異なる場合がございます。的確な情報詳細につきましては、移民法専門の弁護士にお問い合わせください。

2016年 3月 1日更新

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Columnist's Profile

CEO/Attorney
瀧 恵之瀧法律事務所 Taki Law Offices, A Professional Corporation

新潟大学法学部卒業。日本の法律事務所に勤務の後、インディアナ大学大学院卒業。20年以上に渡り、移民法の分野で活躍。常にクライアントの立場に立った柔軟なアドバイスが特徴。

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