マイクロサージェリーとは、通常マイクロスコープを使用したオペレーションの事を指します。 主に血管や神経細胞の縫合を顕微鏡下で行う治療です (写真1)。
私も大学院にいる頃、マイクロサージェリーのサーティフィケーションを取得しました。 プログラムでは、最初にハツカネズミの静脈を2つの止血鉗子で挟んだ間をカットして、その分かれた静脈を髪の毛の10分の1程の太さの糸で縫い付けるのです。
血管の太さはおよそ1~2ミリでそこに統一間隔で9針縫います (写真2)。 止血鉗子を外して血液が漏れなければ成功、つまりは合格という事になります。 さてこの作業を20本程こなした後、今度は動脈で同じ事をやります。 動脈は少々やっかいです。 静脈の時と違い血流にかなりの圧がかかるからです。 少しでも縫う時にずれがあると、そこから血液が漏れ始めます。 同様に20本程オペレートした後に、今度は神経細胞に取りかかります。 神経細胞はものすごく複雑で、細心の注意を払って行わないと取り返しのつかない事になります。
そもそも私がこのクラスをとっていた理由は、私の在籍していた口腔インプラント外科、補綴 (ほてつ) 講座がその当時必須科目として定めていた為ですが、当時、歯科では神経治療に使われ初めていたころで中々普及はされて いませんでした。 神経治療をする際、やはり拡大してみる事が出来るのでマイクロスコープはとても役に立つ物です。 肉眼で見る臼歯は直径が12ミリの歯に6~8ミリ程の穴を開けて、それを患者さんの上からミラー越しに診て治療を行います (写真3)。
マイクロスコープを使うと 『写真4』 のようなイメージとしてみる事が出来ます。 これは術者にしてみればものすごいアドバンテージです。 治療のクオリティーが高まる事は言うまでもありません。
また当医院では初診時の検診に使う事もしばしばあります。 肉眼では中々見極められないひび等 (写真5) も、マイクロスコープを使用する事により正確な診断が出来ます。