マスターオブトレーディング
Hiro Ezawa Western Shipping America, Inc. TEL: 310-834-7899 x25
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第55回 : 
緊急事態発生!米中貿易戦争激化の様相

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第1回 : 
貿易って何? 実は普通の商取引です
第2回 : 
自分が貿易? 一体オレに何が出来る?
第3回 : 
これだけは知っておきたい貿易実務用語
第4回 : 
インターネット取引の可能性
第5回 : 
自分一人で輸出入?
第6回 : 
航空便?船便?船便ばかりが安いわけじゃない!
第7回 : 
利益の取れる値付け
第8回 : 
ノッてけ、ノッてけ、時代の波に乗る重要性
第9回 : 
インターネット取引の障害とは?
第10回 : 
輸送会社、実は情報の宝庫
第11回 : 
日々勉強、商品知識
第12回 : 
VS 正規代理店、並行貿易業者の仁義なき戦い - 第1章 野望編
第13回 : 
VS 正規代理店、並行貿易業者の仁義なき戦い 第二章 せめぎ合い
第14回 : 
成功の秘訣-供給先は神様なり
第15回 : 
緊急報告!米国西海岸における港湾労使交渉に物申す!
第16回 : 
知識を侮るな、先入観を捨てろ!
第17回 : 
『FOB』 - どこまでが本当の『FOB』か
第18回 : 
輸入って手もアリ?
第19回 : 
緊急企画! 加速する円安 その1
第20回 : 
緊急企画! 加速する円安 その2
第21回 : 
在庫は持つことはリスクが高いか
第22回 : 
騙されない決済方法 ~前編~
第23回 : 
騙されない決済方法 ~後編~
第24回 : 
さぁ、どうする?方向転換を決断!
第25回 : 
2016新年特別企画 「成功するダイエットはこれだ!」
第26回 : 
成功を掴んだ人―ケーススタディーその1
第27回 : 
税関検査とそのリスク
第28回 : 
新規顧客開拓に効果的な方法
第29回 : 
輸送保険のはなし
第30回 : 
貿易事件簿 その1
第31回 : 
貿易事件簿 その2
第32回 : 
アメリカからの車輛輸出の現状
第33回 : 
HANJIN SHIPPINGの経営破綻に思う
第34回 : 
「乙仲」と「フォワーダー」前編
第35回 : 
「乙仲」と「フォワーダー」後編
第36回 : 
総括2016年“Hiro Ezawa’s Choice”ビジネス10大ニュース
第37回 : 
どうなる2017年、米国貿易大胆予想
第38回 : 
成功を掴んだ人 ~ケーススタディーその2~
第39回 : 
英語ができなきゃビジネスは成り立たない?
第40回 : 
ビジネスの達人に学ぶ、経営哲学
第41回 : 
並行貿易バンザイ!代理店に負けない取引術
第42回 : 
インターネット大活用で情報戦を制す
第43回 : 
展示会に活路を見出す
第44回 : 
新規顧客開拓にはこれ!
第45回 : 
起業への道!~はじめの一歩~「スタートアップ」
第46回 : 
起業への道!~はじめの一歩~「ファンを作る」
第47回 : 
起業への道!~はじめの一歩~「起業へのツール」
第48回 : 
起業への道!~はじめの一歩~「自分自身を売る」
第49回 : 
2018年は、こんな1年になる
第50回 : 
「さぁ、貿易 始めてみよう!」
第51回 : 
「愛される取引先になるには」
第52回 : 
「商品売れた!さて、その次のステップは?」
第53回 : 
自分勝手と言われようが有利に進めるビジネス
第54回 : 
あなたは読めますか?「L/C」読めなきゃ貿易のプロじゃない!
第55回 : 
緊急事態発生!米中貿易戦争激化の様相

あなたにも出来る!貿易ビジネス -ヒロ江澤の貿易ビジネス講座-

海外との取引って難しい。でもせっかくアメリカにいるから私も何か出来るかも!という志の高いあなたへ。マスターオブトレーディング:ヒロ江澤の貿易ビジネス講座。あなたも貿易のプロになれる、さあ始めてみよう!

2014年11月 24日更新

第12回 : VS 正規代理店、並行貿易業者の仁義なき戦い - 第1章 野望編

ハロウィンも終わって本格的な冬がもうすぐ。とは言え、昼間はまだまだ暑い日もあるLAでは、あまりそのような季節の移り変わりは感じませんね。そうかと思っていると、もうDaylight Saving Timeは終わり、いわゆる普通時間/冬時間の到来。こうなるともう一気に日が暮れるのが速く感じて、どことなく寂しさを覚えます。みなさんも1年があまりに速い速度で過ぎ去るので驚いているのではないでしょうか。そう言えば、みなさんにご愛読頂いているこのコラムも、とうとう連載12回目を迎えました。毎月更新しているので、何と次回で丸1 年を迎えます。確かこのシリーズを書き始めたのが昨年の暮れでしたから。あっという間の1年でした。読者の皆さんも「こいつの言う画空ごとにはもう飽きた」などと言わずに、これからもずっとご愛読下さいね。

そもそも正規代理店って何者?

海外で生産された商品が数多く日本でも売られています。最初はその製造元が恐る恐る海外で展開するのを模索し、少しづつ輸出を仕掛けてきます。そこにはある程度の資本も投入して、その経営展開を目論む国に対して独立をすべく戦略を立ててきます。そしてその後の状況により「これはその国でも売れる!」と判断された場合、攻勢を強め日本に拠点を置きます。しかしそこには大きな投資が必要になってくる上に、何も知らない外国で一から支店を立ち上げるのはまさにリスクがたくさんあります。そこでその独立を既にその国に存在する企業と契約する事によって、円滑にそして経費をかけずに販売を進めていく。これがまさに代理店契約です。例を取ってみるとドイツの名門車輛であるフォルクスワーゲン社(以下VW)。ここが日本に進出するにあたり契約したのは「ヤナセ」社であり、その意味は「あんたのところだけに独占的に弊社の車輛を卸すよ。なのであんたの所で売れた車輛の代金の○○%をこっちにまわしてね」という事です。要するにインセンティブを支払い、独占販売権をヤナセに売る。そしてヤナセが日本国内で販売展開を行い、自社のネットワークや販売網、広告などを通じてVW車を猛烈に販売。VWの看板を国内で掲げることを唯一許された企業として独占販売を行います。そして日本では「VWはヤナセ」という認識が人々に生まれ、日本国内総代理店である同社も、そして供給元である総販売元であるVW社もまたニッコリ、という図式が出来ます。販売代理店は国内で販売を許されるという権利を買い、親である生産元もそれを認めるので、ほぼその製造元が作った商品は独占的に販売できるというしくみです。VW社も高い経費をかけずに日本の国土や文化背景に合った販促活動が出来る上、海外に支社を展開するという面倒やリスクを取らずに済みます。そこが販売代理店の魅力です。しかし中には、フランスの超高級ブティックなどのように海外で自社での展開を推し進め、支店を作る事で自社の持つブランドイメージを崩さず、更には並行貿易なども食い止める狙いで進出している企業も多く見受けます。

聴きなれた言葉「並行モン」とは

俗に言う「並行モン」とは「並行輸入された商品」ということ。この言葉を紐解くと「正規代理店ルートを通さずに輸入された商品」という意味になります。一般的に並行輸入されて市場に出回っている商品のイメージとしては「価格が安い」という事でしょう。 これが消費者にとって最大の魅力となります。前述の高級ブランドのカバンなども、並行輸入ルートで国内に持ち込まれ、いわゆるセレクトショップで、やや正規代理店よりも安価に売られるケースもありますが、一般的にはもう少し汎用性が強く、それ程高価でない商品の方がピンとくるでしょう。例えば米国の一大スポーツブランドであるNIKEのスポーツシューズ。これは並行商品が多い商材であると言えます。90年代中盤に訪れた猛烈な円高のお蔭で米国からこのような商品がバカ売れした時期があります。当時爆発的なブームとなった“Nike Air Max” やMichael Jordanがまだ現役であったことから飛ぶように売れた”Nike Air Jordan” などがこれにあたりますが、凄い量の輸入があり原宿やアメリカ村などの若者に人気の街では多く店頭に並びました。そして正規代理店から卸されたであろう百貨店に並ぶ全く同じ商品よりも安価なために、空前のセールスを記録したのではないでしょうか?当時米国に来る日本人バイヤーは、日本のファッション誌を手にこれらの靴の発売初日に小売店舗に並び、小売で購入したものをその足で日本に持ち帰ったりしていました。小売で買っても商売になり得る金額でさばけたのですから、とんでもない売り手市場ですよね。NIKEあたりの大企業となると、当然日本に直営店か代理店があるものですが、このように手軽に消費者の手の届く商品だったりすると、並行輸出の恰好のターゲットとなり、海外から多くが輸出されてきます。そこでこの並行輸入が加速するとどうなるのか…。

並行輸入の弊害

並行輸入物が増えると途端に困るのが発売元、そしてその傘下にある各国の直営店や独占契約を持った販売代理店です。ではなぜ並行輸入が増えると彼らは困るのでしょう?

その理由は

  • 正規のルートではない流通経路から輸入販売されてしまう。
  • 並行輸入の場合、基本的にメーカー希望小売価格で売る必要がなくなる。
  • メーカー小売希望価格以下で市場に出回るために設定価格崩壊の危険が生じる。
  • メーカーから正規代理店を通して出荷された正規ルートの商品が売れなくなる。
  • 販売店や問屋も並行輸入物の方が安価なので正規流通ルートから買わなくなる。
  • 価格破壊が進行するとブランドイメージが悪くなる。

このような事が挙げられます。よってメーカーや代理店はこのような並行輸入業者を煙たく感じるし、何とか並行輸入を食い止めて彼らを廃業に追い込みたいはず。しかし消費者の視点から見ればこんな良いことはありません。

並行輸入における消費者のメリット

  • お気に入りの製品が安価で購入できる。
  • 消費者の立場から言えば流通ルートなどは一切自身に関係ない。
  • 正規モノとの価格競争が始まれば更に価格が下がる可能性がある。

このように消費者の立場からすると「どんどん競争してもらって価格が更に下がるなら有難い」と言う程度のもので、それが並行ものであろうが、ニセモノでなければ購入を憚る理由が全くないという事に自ずと結びつきます。

中小企業の味方「独禁法」

『独占禁止法(どくせんきんしほう)または競争法(きょうそうほう)とは、資本主義の市場経済において、健全で公正な競争状態を維持するために独占的、協調的、あるいは競争方法として不公正な行動を防ぐことを目的とする法令の総称ないし法分野である。「独占禁止法」では、法律の略称と紛らわしいため、区別を明確にする際には「競争法」との呼称が用いられることがある』

出典:ウィキペディア「独占禁止法

と、いきなりウィキペディアから抜粋しましたが「独占禁止法」略して「独禁法」。みなさん、聞き覚えがありますよね。これは先進国を初めとした世界100か国以上で施行されている国際法であり、日本でも内閣府の管理下「公正取引委員会」という団体が厳しく管理しています。平たく言うと、市場経済下では自身が製造、販売したものをある特定の業者などに独占的に販売する事を禁じる、ということであり、販売のルートに関してはその市場を開放しなければならない、というものです。前述のVWとヤナセを例に挙げて当てはめてみると、VWドイツ本社は販売の門戸を開放し、誰しにも購入するチャンスを与えなければならない、という事になります。独占販売権はヤナセが持っているのでこれもまた別のライセンスには変わりはないのですが「代理店にしか卸しません。代理店じゃない人には絶対に売りません」という解釈は法律上許されない、という事です。売ってくれるかどうかは別として、VWにトヨタが車輛を購入しにいっても構わない。つまり「いやウチはヤナセにしか売らないよ。あんたら他所の人は一切買えませんから」と宣言する事は法規上問題がある、ということです。しかし実際にはどうでしょう?この法律があるからこそ、消費者の権利が守られているとは言えますが、その実VW車輛はヤナセでしか買えないようになっています。現実問題これが流通であり、大きな川のようなものでその流れを止めるのはよほどの力がないと難しいのです。

並行輸入は違法行為なの?

正規代理店が立ちはだかり「この商品は正規ルートで輸入されていますから」などと言われると、まるで並行輸入された商品がニセモノなのか、あるいは並行輸入業者は違法行為をしているかのようなイメージがついてまわります。しかしそれはとんでもない誤解です。並行輸出や並行輸入は、世界レベルでこの「独占禁止法」に守られているのです。よっていくら日本国内にNIKEの息のかかった代理店があろうが、この独禁法に守られている以上並行輸入を断罪する事は出来ません。そして並行輸入こそが独占禁止法に抵触しないで同じ商品を非正規ルートで輸入できる方法なのです。NIKE社からすれば並行輸入業者は疎ましい存在でしょう。NIKEは独自のブランドイメージを高めるために各国で高価な広告を打って宣伝活動をする。しかし並行輸入業者は宣伝活動など一切せず、NIKEが宣伝した商品を横流しする。確かにメーカー側から見るとまるで「泥棒」のように感じるかもしれません。しかし先ほどお話した通り、消費者の立場から考えると、決してメーカーの思惑をそのまま汲みとる人ばかりではないでしょう。確かに他人が手塩にかけて育てた商品を別の人がやって来て勝手に売りさばこうとしたら、生産者はガッカリどころか怒り出すでしょう。「オレたちが金をかけてここまで商品を有名にしたのに、なぜ横からしゃしゃり出てきたお前たちが利益を得ようとする?」ってなものでしょう。しかしこればかりはこの法律に守られており、決して非合法な行為ではないのです。そして商品が有名になればなるほど、その商品が市場で人気が出れば出るほど、並行輸入が増えていくのはある意味社会現象であり、メーカーも法的にどうする事も出来ないのです。しかし巨大メーカーが並行輸入される事で凌ぎが減っている現実を黙って見過ごすはずもありません。 そして巨大メーカーが打ち出す作戦とは…。

今回はここまで。ちょっと劇画調になってきましたが、生産者であるメーカーとかすりを取ろうとする並行業者の“仁義なき戦争”はまだまだ続きます。書いているこちらも緊張感が増してくるような内容ですね。次回は本編の後編「VS 正規代理店、並行貿易の仁義なき戦い 第2章 せめぎ合い」と題して、劇画を進めていきたいと思います。代理店は傘下の会社に締め付けを行い商品の流出を防ごうと努力しますが、更にそれに対抗しようとする並行業者の逆襲。実録版、貿易会における仁義なき戦い、是非ご期待下さい。

2014年11月 24日更新

読者の皆様のご意見やご感想などどしどしお聞かせ下さい。
またこのような内容について話して欲しいなど、リクエストがあれば是非お寄せ下さい。
そのテーマでガッツリ書かせて頂きます。
いつも多くのみなさんにご愛読頂いていますことを、心から感謝しています。

hiro@westshipus.com

Columnist's Profile

マスターオブトレーディングHiro Ezawa(Western Shipping America, Inc.)

東京都品川区出身。日本で商社勤務時代に貿易に触れる。数年の勤務の後、一念発起し兼ねてから憧れの地であった北カリフォルニアで大学を卒業。その後LAで輸送会社に就職し、以来米国物流業界一筋に19年のキャリア。仕事柄、オートバイ、車輛の輸出に関してはLAで一番の経験と幅広い知識を誇る。Western Shipping Americaは8年前仲間と設立、順調に業績を延ばし現在東京、香港、上海と支店を持つグループ企業に発展。

趣味は毎朝体を鍛えることと三度の飯より好きなフットボール観戦。小学生の息子たちにはやや厳しくスポーツの大切さを熱血指導中。在米22年もまるで他の都市へ行ったことなし。座右の銘は 「努力に勝る天才なし」、「健全な精神は健全な肉体に宿る」。

Western Shipping America, Inc.

1515 West Wardlow Road, Long Beach, CA 90810
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