心療内科医
久賀谷 亮 TransHope Medical TEL: 424-247-9642

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第89回 : update
ゆるすということ

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第1回 : 
被災地の「こころ」
第2回 : 
被災地の「こころ」 2
第3回 : 
被災地の「こころ」 3
第4回 : 
夏目漱石の 『こころ』 と三島由紀夫
第5回 : 
M.I.T. Media Lab
第6回 : 
被災地の 『こころ』 一年
第7回 : 
「こころ」 はユニバーサル
第8回 : 
「新型うつ」 というのが話題らしい
第9回 : 
自分のことが嫌いな人へ ~自尊心について~
第10回 : 
ブレイン・フィットネス
第11回 : 
脳の錯覚とポジティブ思考
第12回 : 
不確実性とつきあう — 不安克服法 —
第13回 : 
フェイスブックの心理学 【1.フェイスブック依存】
第14回 : 
薬をつかわない 「うつ」 の治療最前線
第15回 : 
フェイスブックの心理学 【2.つながるほど孤独】
第16回 : 
「うつ」 今注目の最新治療 『TMS』
第17回 : 
「リンカーン」のメランコリー
第18回 : 
眠れませんか?
第19回 : 
フェイスブックの心理学 【3.コミュニケーションの変容】
第20回 : 
アンチエイジングの心理学 1
第21回 : 
アンチエイジングの心理学 2
第22回 : 
子育ての流儀
第23回 : 
私の 「こころ」 について
第24回 : 
「物忘れ、お困りですか? 外付け『記憶』ハードドライブをお買い上げください」。 —脳科学最前線:脳を補う、創る—
第25回 : 
ゴルフの心理学
第26回 : 
ゴルフの心理学2
第27回 : 
ひとのこころは読めるのか
第28回 : 
ADHDについて深く知る
第29回 : 
「幸せ」 の心理学
第30回 : 
結婚の心理学
第31回 : 
スピリチュアリティとこころ
第32回 : 
Future of the Mind
第33回 : 
The Secret Life of Walter Mitty ~自尊心について 2~
第34回 : 
パニックって? その1
第35回 : 
パニックって? その2
第36回 : 
アートとこころ
第37回 : 
耐久レースとこころ
第38回 : 
スピリチュアリティとこころ2
第39回 : 
スピリチュアリティとこころ3
第40回 : 
自律神経失調症とは
第41回 : 
怒りのコントロール
第42回 : 
あがり症
第43回 : 
「Dr.倫太郎」
第44回 : 
学校では教えない人生の叡智
第45回 : 
マインドフルネス
第46回 : 
旅薬
第47回 : 
ペットロス症候群
第48回 : 
マインドフルネス 2 - 比較文化論
第49回 : 
マインドフルネス 3
第50回 : 
セックスレスの心理学
第51回 : 
あなたの脳を知る
第52回 : 
最新「こころ」の研究
第53回 : 
Deep TMS
第54回 : 
認められるということ
第55回 : 
APPSとメンタルヘルス
第56回 : 
「夜と霧」
第57回 : 
成功の実現
第58回 : 
レジリエンス
第59回 : 
脳の休め方
第60回 : 
脳の休め方2
第61回 : 
世界にひろがるマインドフルネス(マインドフルネス4)
第62回 : 
「過労死」
第63回 : 
人工知能(AI)―人間が引退する日―
第64回 : 
「フェデラーと老いの心理学」
第65回 : 
自己肯定感と承認欲
第66回 : 
「まかない食」
第67回 : 
「脳休」
第68回 : 
小林麻央さんのこと
第69回 : 
醜形恐怖
第70回 : 
黒い犬
第71回 : 
親業とこころ
第72回 : 
弓と禅
第73回 : 
究極の「怖れ」克服法
第74回 : 
自然と脳
第75回 : 
脳から身体を治す
第76回 : 
非日常との境界
第77回 : 
「戦争と平和」
第78回 : 
日本の開国
第79回 : 
自尊心について5
第80回 : 
滝のうら
第81回 : 
「食」と「旅」
第82回 : 
「セリーナ・ウィリアムズと怒りの心理学」(怒りとこころ2)
第83回 : 
「東洋化グローバライゼーション」
第84回 : 
「日日是好日」
第85回 : 
OCD
第86回 : 
プロのホームレス
第87回 : 
偏愛の力
第88回 : 
多様性の教科書
第89回 : 
ゆるすということ

『こころにまつわるおはなし。』

「こころ」 をキーワードに、様々な話題を提供します。

2016年 4月 13日更新

第55回 : APPSとメンタルヘルス

スマートフォンの普及は凄まじく、APPSも同様です。これをメンタルヘルスに利用しようとする動きが起きており、疾患に関するAPPSのうち、およそ三分の一がメンタルヘルスに関するものです。その現状と利点、問題点についてイギリスの著名な科学誌『ネイチャー』が特集していますので紹介します。

APPSを使って、こころの状態をモニターしたり、問題が生じた場合、それに対処する方法を指導したり、症状の再発を防いだり、というのが多くのAPPSの目的です。メンタルヘルスは、その問題の頻度の高さにもかかわらず(30%ぐらいの人が一生のうちに何らかのメンタルヘルス問題を持ちます)、十分にケアが行き届いていない領域です。その理由は、偏見であったり治療者へのアクセス(受診)が難しかったりなどです。発展途上国では、このアクセスの問題が85%ぐらいの人に起きていると見積もられています。先進国でも50%に及びます。

そこでAPPSが登場するわけです。発展途上国でもスマートフォンの普及は6割を超え、多くの人が手にするものです。何からの理由で専門家に受診できない場合、この手元にあるスマートフォンのAPPSが助けにならないかと考えたわけです。その普及は加速度的で、アメリカ国防省が開発したAPPS「PTSD Coach」は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)というトラウマのためのケアを提供するのですが、3年間で15万回ダウンロードされ、86か国に及んでいます。この他にもさまざまなメンタルヘルスについてのAPPSが多数開発され、「FOCUS」というのは統合失調症に対してですし、「Sleepio」は不眠に対してです。またさまざまな工夫がなされ、マンチェスター大学の研究者によって開発された「ClinTouch」は、症状の再発をモニターし、その兆候があれば専門家へ連絡がいくという作りになっています。さらにはサンフランシスコのGinger.ioという会社は、スマートフォンの使用状況によって(テキストの数など)、うつ病の悪化を早期発見することに役立てるという試みをしています。

APPSの利点は、安価である、簡便である、アクセスしやすい、偏見が障害になりにくい、初期の症状をモニターすることで早期発見に貢献する、グローバルに用いられる(インターネットがあれば)などです。

さまざまなAPPSの発展の一方で、『ネイチャー』誌はその問題点を取り上げています。

一つはその信頼性です。「そもそも効果があるのか」ということです。ほとんどのAPPSはきちんとしたテストを受けていません。ある情報によると、1500以上のうつ病に関わるAPPSのうち、32が研究論文の対象になっているのみでした。またその効果が立証されたものは、ある14のAPPSを対象にした解析では4つのみでした。アメリカでいうFDAという国の機関がその効果と安全性を立証するという経緯を経ていないものがほとんどです。疾患の治療という命名のAPPSならまだしも、「気分をブーストします」とか「コーチングします」とかいったカジュアルなものが多いですから、そもそもFDAという医療行為を審査する対象になるのかというのもあります。

個人データの保護もAPPSにまつわる大きな問題です。35のAPPSのうち個人情報を暗号化していなかったものは実に三分の二に及びました。個人情報の保護がクリティカルなメンタルヘルスの領域で、これは深刻な問題です。

さらには、APPSによる害もありえます。「iBipolar」という躁うつ病に対するAPPSでは「そう状態になったらきついお酒を飲みましょう」というアドバイスがありました。また「What is Bipolar Disorder」というAPPSでは「躁うつ病は感染性がある」と触れられていました。このような明らかな間違いがはびこり得るのがAPPSの現状なのです。それによって使用者が害を被ることはいたたまれません。

「Take Promillekoll」というスウェーデンのAPPSは、お酒を飲んでいる時、その量を入力していくことで体内アルコール濃度を示し、使用者のアルコール摂取を抑えることを意図しました。ところが、その都度飲む量は減ったものの、逆に飲む頻度が増えるという結果になりました(飲む量が一回あたり減ることで大丈夫と安心し、頻度が増えたのではないかと推測されています)。その他にも、APPSによっては、使用によって逆にメンタル症状の悪化が見られる場合があります。

APPSの国境を越えて使い得るという点は、メリットであり、デメリットにもなりえます。国や文化によってメンタルヘルスの用語、理解は異なり、言語によるものはもちろん、文化の違いによるズレが生じる可能性があります。

APPSという新たな手段にそのメリットがある一方、さまざまな落とし穴をはらんでいるということです。医療という領域では、しかしこのままでは問題があります。

『ネイチャー』誌は特集のまとめとして「APPSは、他の治療行為と同様に検証され、その妥当性が判断されるべきだ」と結論付け、APPSのプラセボ(類似しているがその実質が除かれているもの)を用いた無作為比較試験によって、APPSの効果と安全性を確認するステップがきちんと行なわれている例を挙げています。

当クリニックでも、テクノロジーの進歩によるメンタルヘルス領域の環境の変化には敏感に注意を払っています。遠隔からの受診が可能なように、Telemedicineという領域は、メンタルヘルスに限らず、ビデオ通信などで医療行為が行われる技術です。それにより、最寄りにアクセスできる医師がいない方々が必要なケアを受けることを可能にしています。スカイプをこれに代用している場合があるようですが、スカイプは個人情報を保護することができません。当クリニックのシステムは軍事レベルの暗号化を用い、メンタルケアにとって重要な個人情報を守り、安心して利用していただけるように配慮されています。私が、コネチカット州にいた10年以上前から退役軍人病院などではいち早く取り入れられていた医療テクノロジーです。APPSに今求められているように、厳しくその信頼性が検討され、現在に至る長い経緯があります。また、上にも触れたような、症状を日記のように入力するサイトを用いることで、症状のモニターや早期発見に役立てています。今回述べてきたように、医療者としてこういったテクノロジーを見極め、メリット・デメリットを熟知した上で、慎重に選択していくことが役目だと思っています。その上でテクノロジーの恩恵を医療に役立てていくこと求められます。

2016年 4月 13日更新

くがやこころとからだのクリニックでは、
「こころ」 にまつわる様々なご相談や、こころの健康チェック、ケアを提供しています。

▼ドクター久賀谷による「マインドフルネスx脳科学」ホームページを開設しました!

https://www.beinamoment.org

ドクター久賀谷によるマインドフルネス 著書・旅企画・コーチングをまとめて紹介。クリニックと合わせてよろしくお願いします!

▼「患者さまの声」ページ 随時更新中!

https://thmedical.org/diagnosis/testimonials/

クリニックホームページ内で診療を受けられた方の動画・音声、そして寄せられたお手紙などをご覧いただけます。
診療セミナーやマインドフルネス・TMS治療に関する患者さまの声。

▼心療内科専門医による各種プログラム
不安/パニック より早い改善をカウンセリングとお薬またはTMS治療を必要に応じて組み合わせることで実現
うつ
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ADHD
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マインドフルネス認知療法
認知行動療法カウンセリング
こころとからだ・プログラム → ストレスによる身体の症状の緩和
トラウマ治療 (EMDR)
禁煙プログラム
仕事ストレス
体重マネージメント
こころの健康相談

※ 当クリニックでは、カウンセリングのみも可能です。

Columnist's Profile

心療内科医久賀谷 亮(TransHope Medical)

イェール大学医学部神経精神科卒。日米医師免許。趣味 : トライアスロン。TransHope Medical / くがやこころとからだのクリニック院長。「TransHope」 は、Transglobally (国境を越えて)、Transculturally (文化を超えて) に、Hopeを手渡していくことを意味します。

眠れない、疲れやすい、集中できない、気分が晴れない、ストレスによるこころとからだの反応、ライフスタイル改善(体重、仕事パフォーマンス、喫煙)、うつ、パニック、ADHDなどに医学的診察とケアを提供します。

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